柊哉side
ゆっくりと景色を眺めながら山下公園に入ると、何かのイベントがやっていた様で大勢の人波にのまれそうになる優茉の手を掴んで引き寄せた。
「大丈夫?」
「はい、ありがとうございます。...あの、もう大丈夫ですよ...?」
「せっかくだから船が見える辺りまで行こう」そう言って優茉の手を掴んだまま歩きベンチに座って海を眺めた。
「ねぇ、優茉。言いたくなければ言わなくていいんだけど、前にお母さんは亡くなられたと言っていたよね?じゃあお父さんは?」
「父はいますよ、ただ仕事が忙しくて私が幼稚園の頃から海外赴任をしているのでずっと祖父母の家で暮らしていました。日本に帰ってくるのも年に一.二回ほどであまり連絡も取っていないので、正直今でも父とはどう接していいのかわからないんです。親子なのにおかしいですよね」
「いや、家族の形はそれぞれだから。おかしくはないよ」
確かあの時も海外にいると言っていたが今でもそうなのか...そう考えていると、優茉が遠慮がちに口を開く。
「あの、先生は...院長とは少し距離を置かれているんですか...?」
「俺も正直父親との接し方がわからない。俺も...子どもの頃に母を亡くしているんだ。元々忙しい人だったし父親らしい事をしてもらった記憶もない。だから今でも父というより院長という感じで、ほとんど業務的な話しかしないんだ」
「...すみません、詮索するような事を聞いてしまって...」
「もう母の事はだいぶ経つから傷は癒えているし、先に家族の事を聞いたのは俺の方だから。実は一応同棲しているわけだから、優茉のお父さんに挨拶しなければと思っていたんだ」
「い、いえ!挨拶なんて...。一時的ですし必要ないと思います...」
「じゃあ一旦考えるよ。それより少し冷えてきたから、どこかで温かいものでも飲もう」そう言って立ち上がり優茉に右手を差し出すと、少し躊躇いながらも手を取ってくれたので繋いだまま歩き始めた。
彼女が行きたかったという老舗洋菓子店に入り、紅茶とケーキを頼んで温まった後外に出ると、すでに陽が沈み始め辺りは薄暗くイルミネーションの光が灯り始めている。
「この後はどうする?」と優茉に尋ねると少し恥ずかしそうに「あの...あれに乗りたいです。嫌、ですか...?」と大きな観覧車を指差す。
予想外の答えに驚いたが、これも小説に出てきたのだろうか?言わば聖地巡礼のようなものか...?
「じゃあ、乗りに行こうか」と手を引くと「はい!」とパァっと嬉しそうな笑顔になる優茉はとても可愛かった。
ゆっくりと景色を眺めながら山下公園に入ると、何かのイベントがやっていた様で大勢の人波にのまれそうになる優茉の手を掴んで引き寄せた。
「大丈夫?」
「はい、ありがとうございます。...あの、もう大丈夫ですよ...?」
「せっかくだから船が見える辺りまで行こう」そう言って優茉の手を掴んだまま歩きベンチに座って海を眺めた。
「ねぇ、優茉。言いたくなければ言わなくていいんだけど、前にお母さんは亡くなられたと言っていたよね?じゃあお父さんは?」
「父はいますよ、ただ仕事が忙しくて私が幼稚園の頃から海外赴任をしているのでずっと祖父母の家で暮らしていました。日本に帰ってくるのも年に一.二回ほどであまり連絡も取っていないので、正直今でも父とはどう接していいのかわからないんです。親子なのにおかしいですよね」
「いや、家族の形はそれぞれだから。おかしくはないよ」
確かあの時も海外にいると言っていたが今でもそうなのか...そう考えていると、優茉が遠慮がちに口を開く。
「あの、先生は...院長とは少し距離を置かれているんですか...?」
「俺も正直父親との接し方がわからない。俺も...子どもの頃に母を亡くしているんだ。元々忙しい人だったし父親らしい事をしてもらった記憶もない。だから今でも父というより院長という感じで、ほとんど業務的な話しかしないんだ」
「...すみません、詮索するような事を聞いてしまって...」
「もう母の事はだいぶ経つから傷は癒えているし、先に家族の事を聞いたのは俺の方だから。実は一応同棲しているわけだから、優茉のお父さんに挨拶しなければと思っていたんだ」
「い、いえ!挨拶なんて...。一時的ですし必要ないと思います...」
「じゃあ一旦考えるよ。それより少し冷えてきたから、どこかで温かいものでも飲もう」そう言って立ち上がり優茉に右手を差し出すと、少し躊躇いながらも手を取ってくれたので繋いだまま歩き始めた。
彼女が行きたかったという老舗洋菓子店に入り、紅茶とケーキを頼んで温まった後外に出ると、すでに陽が沈み始め辺りは薄暗くイルミネーションの光が灯り始めている。
「この後はどうする?」と優茉に尋ねると少し恥ずかしそうに「あの...あれに乗りたいです。嫌、ですか...?」と大きな観覧車を指差す。
予想外の答えに驚いたが、これも小説に出てきたのだろうか?言わば聖地巡礼のようなものか...?
「じゃあ、乗りに行こうか」と手を引くと「はい!」とパァっと嬉しそうな笑顔になる優茉はとても可愛かった。
