エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜

 朝の申し送りが終わると、午前中の業務は退院手続きに付随する業務がメインになる。その隙間でカルテ整理や器材の準備など多岐に渡る業務を教わりながら行なっていると、あっという間にお昼の時間を迎えた。

 二人揃って職員用の食堂へ行き窓際の席に座ると、天宮さんは日替わり定食、私はお弁当を広げて食べ始めた。
 「いつも思うけど毎日お弁当作ってえらいね。私なんて未だにレシピサイト見て簡単な物ばっかり。時間がある時は旦那に任せちゃうわ、その方が美味しいしね」
 天宮さんは以前呼吸器内科でクラークをされていて、そこで出会ったドクターの旦那様と去年ご結婚されたそう。
 「ふふっ、素敵な旦那様ですね」
 「優茉ちゃんは?彼氏いないの?絶対モテるでしょ」
 「いえ、そんな事はありませんし彼氏もいません」
 「へぇ!宮野さんフリーなんだ!」そう言いながら同じテーブルに座って親子丼を食べ始めたのは、同じ脳外の男性看護師である風見さん。
 「風見くん、せっかく女子トークしてたのに!席ならまだ向こうも空いてるわよー」
 「いいじゃないですかー、僕も混ぜてくださいよ女子トーク!」
 彼は私と同い年で二年前から脳外で働いているそう。ふわっとした微かに茶色い髪の毛に、くりっとした大きな瞳。女の私から見ても可愛いと思う甘い顔立ちの風見さんは、仕事も一生懸命で看護師さん達だけでなく先生達にも可愛がられている。
 「で?宮野さん本当に彼氏いないの?」
 「しばらくそうゆう人はいません」
 「じゃあずっと想い続けてる人がいるとか?」
 「いえ...私には恋愛は向いていないようなので」
 過去に好きになった人もいたけれど、お付き合いを始め幸せだなぁと感じると同時に何故か急に怖くなってしまう。何度か恋愛はしたものの、どれもその得体の知れない恐怖感から本気で相手を好きにはなれなかった。