The previous night of the world revolution5~R.D.~

そのときの、ルルシーの気の抜けた顔と言ったら。

思わず、キスしてしまいたくなるくらい素敵だった。

「何だよ、ったく…。人騒がせな…」

「アリューシャは、アイズが傍にいてくれないと、寂しいんですよ」

俺と一緒。

ルルシーが傍にいてくれないと、寂しくて仕方ないの。

その気持ち、よ~く分かる。

俺だってルルシーに一日会わなかったら、禁断症状出るもん。

最悪、道行く人が全てルルシーに見えそう。

ルヴィアさんも同様だな。

「なぁんだ…。良かった。具合が悪い訳じゃなかったのね」

ほっと一安心のシュノさん。

それくらいのことで、と怒らないのが彼女らしい。

「良かったな、アリューシャ先輩」

ルリシヤも一安心。

安心…したのは良いのだが。

「…ん?なんかアリューシャ、腹減った」

いきなり、アリューシャがそう言い始めた。

「なんか腹減ったぞ、アリューシャ!」

「朝ご飯食べてないですからね、アリューシャ」

正気に戻って、いきなり空腹感を思い出したらしい。

「ルル公、アリューシャ腹減った~!」

「知るかよ…。お前が朝飯食べなかったんだろ」

「アリューシャ、売店で何か買ってこようか?」

呆れるルルシーに、優しいシュノさん。

そして。

「こんなこともあろうかと、朝食のフレンチトーストをラップに包んで持ってきたぞ」

準備が良過ぎる後輩。ルリシヤ。

「マジ!?ルリ公神!」

「イチゴミルクも、水筒に入れて持ってきた。是非飲んでくれ」

「やっほ~!イチゴミルク~♪」

「良かったねぇ、アリューシャ」

アイズは、微笑ましそうにアリューシャを見つめた。

実に良いコンビだ。

「実は、アイズ先輩の分もあるぞ」

さっ、ともう一つラップの包みを取り出すルリシヤ。

えっ。

「おい、入院患者に勝手に差し入れは…」

「フレンチトースト一個くらい、こっそり食べても大丈夫だろう。内臓の病気って訳でもないし。胃腸もしっかりしてるし」

それはそうだ。

別に不摂生が祟って入院、って訳じゃない。

「バレなければ大丈夫ですよ。俺も入院してたとき、ルルシーご飯持ってきてもらいましたし」

「そうだけど…。大丈夫か?アイズ」

「正直嬉しいよ。私も、病院食には飽き飽きしてるんだ。たまには美味しいものが食べたい」

とのこと。

だよね。

「分かります。いつも『不味い』ものばかりじゃ萎えますもんね。やっぱり男たる者、『美味しい』ものを食べないと」

「ルレイア、お前は黙ってろ。お前のそれは意味が違う」

えぇ?

美味しいものを食べたいという、その根っこは同じだよ。

ほら、同じ三大欲求の一つだし?

「一緒に食べようか、アリューシャ。ルリシヤのフレンチトースト」

「うん!食う!」

何より、アリューシャのこの笑顔。

やっぱり、大事な人と食べるって良いね。

俺も今度、ルルシーとディナーでも行こうかな。