The previous night of the world revolution5~R.D.~

朝食後。

病院が開く時間になると、俺達は「ぽへー」と腑抜けたアリューシャを連れて、アリューシャが昨日まで入院していた病院に向かった。

ルルシーは、てっきりアリューシャが診察を受けるもの、と思っていたらしいが。

診察を受ける必要はない。

アリューシャの「特効薬」は、すぐ近くにいる。

「おはようございます、アイズ。面会に来ましたよ」

「あれ?皆…。今日は早いね。どうしたの?」

まだ面会時間になったばかりなのに、いきなり訪ねてきた俺達にびっくりするアイズ。

そりゃ驚くよね。

でも、ちょっとこのアリューシャを、何とかしてあげないといけなかったもんだから。

「色々ありましてね。ほら、アリューシャ。アイズですよ」

「ぽへー…?」

「アイズ。あなたの大親友のアイズがいますよ」

「…ぽへ!」

アリューシャ、覚醒。

さっきまでの腑抜けた調子は何処へやら、アリューシャの目に生気が宿った。

「アイ公…。アイ公~っ!!」

「あれあれ、どうしたのアリューシャ…」

アリューシャは、半泣きでアイズに飛び付いていった。

おいおい。一応アイズ怪我人だから。程々にね。

しかし、その気持ちはよく分かる。

「アイ公~…」

「はいはい、アリューシャ。私はここにいるよ。よしよし」

「ふみゅ~…」

親子の、感動的な再会である。

涙なくしては語れないな。

「…何これ?」

そんな感動のシーンを、ルルシーは白けた目で見ていた。

何の茶番だ、とでも言いたそう。

茶番じゃないんだよこれ。

「分かりやすく言うとですね、ルルシー」

ルルシーの部下、ルヴィアさんがよくなってる、あれ。

「アイズ欠乏症だったんですよ。アリューシャは」

「…」

要するに、アイズと離れ離れになって寂しかったんだな。

それで、あんな腑抜けみたくなっちゃってたと。

それだけの話である。