The previous night of the world revolution5~R.D.~

翌日。

「アリューシャ先輩。朝食だぞ」

「…ぽへー…」

朝になっても、アリューシャは変わらずこの調子。

昨日の夜もずっとこんな感じだった。

いつもなら、午後八時ともなれば、アリューシャはとっくに夢の中なのに。

日付が変わっても、相変わらずボケーッとしたまま、「ぽへー」としか言わない。

これには、さすがのルルシーも心配し始めたようで。

「…アリューシャ、大丈夫か?熱でもあるのか?」

心配そうに、アリューシャの顔を覗き込んでいた。

しかしアリューシャは、朝食を出しても見向きもしない。

「ほら、アリューシャ。ルリシヤがフレンチトーストを作ってくれたわよ」

シュノさんが、ルリシヤ特製のフレンチトーストを差し出した。

「あぁ。ミルクとハチミツたっぷりのふわとろフレンチトーストだ。手作りイチゴミルクもあるぞ」

ルリシヤが腕によりをかけて作った、甘々スウィートな朝ご飯。

いつものアリューシャなら、喜んで飛び付くはず。

それなのに。

「…ぽへー…」

ルリシヤのフレンチトーストなんて、まるで眼中に入っていない。

ただ虚空を見つめて、延々と「ぽへー」を繰り返すのみ。

「…おい。これ本格的にヤバいんじゃないのか」

と、懸念を示すルルシー。

「どうしたのかしら、アリューシャ…。病院でこっそり毒でも盛られたの?」

シュノさんも、大変心配そう。

いつも騒がしい人が静かだと、余計違和感あるよね。

しかし。

何となく事情を察知している俺とルリシヤは、あまり心配していない。

「どうしたんだよ、アリューシャは…。どうすれば治るんだ…?」

「大丈夫ですよ。朝食が終わったら、病院に連れていきましょう」

「病院!?」

ルルシーが、驚愕に目を見開いた。

「やっぱり、まだ何処か悪いのか!?ただでさえ頭の方は残念なのに、これ以上残念になったら…!」

「ルルシー…。あなた、身も蓋もない…」

そんなこと言っちゃ、アリューシャの立つ瀬がないじゃないか。

「心配しなくて大丈夫ですって。本当に」

「…」

このときは、いまいち納得行かなそうなルルシーだったが…。