The previous night of the world revolution5~R.D.~

…と、スーパー元気だったアリューシャだが。

数時間後、アリューシャは元気から程遠いところにいた。

「…ぽへー…」

「…」

「…ぽへー…」

昼間は、あれだけはしゃぎまくっていたのに。

夕食も、尋常じゃない食欲で、今までの分を取り返さん勢いでばっくばく食べてたのに。

夕食後、アリューシャはこうなってしまった。

「…誰か、アリューシャに酒飲ませたか?」

「我々、今日誰もお酒開けてないですよ」

アリューシャどころか、俺達も飲んでない。

緑茶しか飲んでないよ。

「じゃあ、ルリシヤ。料理にワイン使ったか」

「まさか。ワインどころか、料理酒もみりんも使用してない。みりん風調味料で代用してる」

あれって、アルコール度数1%未満なんだっけ。

ってことは、お酒に酔った…訳ではなさそう。

じゃあ、何でアリューシャが放心しているのか。

「おいアリューシャ!しっかりしろ!何に酔っ払ってんだお前は」

ルルシーが、アリューシャの後頭部をべしっ、とはたくも。

「…ぽへー…」

駄目か。

元々アリューシャに物理攻撃はあまり効かない。

すると。

「アリューシャ先輩、デザートがあるぞ。俺特製のフォンダンショコラだ」

ルリシヤ、お菓子で釣る戦法に出る。

普段のアリューシャなら、これは大変有効な戦法である。

叩いても揺すっても起きないが、お菓子で釣ればすんなりと起きるくらいだもんな。

しかし。

「…ぽへー…」

いつもなら真っ先に食いつくはずのアリューシャが、フォンダンショコラを前にしてもこの状態。

これは大変だ。

「…おい、どうなってんだこのアリューシャ」

「明らかに様子がおかしいな」

「まだ怪我が痛むのかしら…?」

「いやぁ…。治ってると思いますけどね」

明らかに普段と違うアリューシャに、動揺する幹部四人。

アリューシャが入院していたのは、『青薔薇連合会』系列の病院。

病院側にとって、幹部であるアリューシャは、いわばスポンサー。

他の患者より、遥かに手厚く看病したはず。

まだ怪我が残っているのに退院させるなんて、そんな病院生命揺るがすようなことをするとは思えない。

「晩飯ばくばく食い過ぎて、腹が痛いんじゃねぇの?」

その可能性はあるが。

「それだったら『痛い』って言うでしょう。入院中もずっと言ってましたし」

「…確かに。うるさいくらい痛い痛い言ってたもんな」

痛いときは痛いって言う子だよ、アリューシャは。

そのアリューシャが、こんなことになるなんて。

一体どうしたんだ。