お見舞いの後。
俺達四人は、ルルシーの執務室に集まった。
アイズ達の前では出来ない「会議」の為だ。
「…俺達全員、同じ気持ちだと思うんで。もう前置きはなしにして、本題に入りますが」
早速、俺はそう切り出した。
「…ぶっちゃけ、犯人誰だと思ってます?」
アイズも、病床で自分なりに検討をつけているのだろう。
しかし、それは怪我人であるアイズの仕事ではない。
俺達の仕事だ。
…しばしの沈黙の後、一番最初に口を開いたのは、シュノさんだった。
「…ごめんなさい。私には、検討がつかないわ…。『青薔薇連合会』に喧嘩を売って、全面対決出来るような組織があるとは思えない」
シュノさんは申し訳なさそうに、しかし正直に答えた。
…事実、その通りだしな。
「唯一あるとしたら、帝国騎士団だけど…。でも、帝国騎士団がそんなことする理由はないはずだわ」
「…ですね」
あいつらは、ルティス帝国を守る存在だ。
俺達に喧嘩を売れば、ルティス帝国の表社会と裏社会が、真っ向から激突することになる。
自他共に認める『青薔薇連合会』の次期首領であるアイズに手を出すとは、即ち『青薔薇連合会』に対する宣戦布告だ。
シュノさんの言う通り、俺達にまともに喧嘩を売って、勝負になるのは帝国騎士団くらい。
でも、そんなことをすれば、ルティス帝国は真っ二つに割れる。
ただでさえ不況が続く今、帝国騎士団はルティス帝国経済を守るのに必死のはず。
俺達に手を出している余裕があるとは思えない。
経済状況が悪いから、わざと戦争を起こして戦争特需を期待する…という可能性も、なくはないが。
帝国騎士団も馬鹿ではない。
『青薔薇連合会』に喧嘩を売れば、特需どころか、ルティス帝国の大地は焦土と化す。
それくらいのことが分からない連中ではない。
それにオルタンスは、シェルドニア王国との開戦も断固反対したそうじゃないか。
そんな男が、みすみす自国を戦場にするとは思えない。
従って、帝国騎士団が犯人という線は、まずないだろう。
「…ルルシーは、どう思います?」
俺は、ルルシーに声をかけた。
しかし、ルルシーの顔色も冴えなかった。
「…悪い。俺もシュノと同じだ。犯人が誰なのか分からない」
「…そうですか」
「ただ…命知らずの連中だってことだけは分かる。それに見合う実力があるってことも…」
…その通り。
ルティス帝国最大のマフィア。泣く子も黙る『青薔薇連合会』。
そんな俺達に、真っ向勝負を仕掛けてこようと言うのだ。
そして、アイズを拉致した手腕。
アジトである、あの廃工場のセキュリティ。
徹底した証拠隠滅。
命乞いもせず、捕まった瞬間自決した敵構成員。
これらの全てを可能にする組織が、ルティス帝国にいくつあることか。
俺達四人は、ルルシーの執務室に集まった。
アイズ達の前では出来ない「会議」の為だ。
「…俺達全員、同じ気持ちだと思うんで。もう前置きはなしにして、本題に入りますが」
早速、俺はそう切り出した。
「…ぶっちゃけ、犯人誰だと思ってます?」
アイズも、病床で自分なりに検討をつけているのだろう。
しかし、それは怪我人であるアイズの仕事ではない。
俺達の仕事だ。
…しばしの沈黙の後、一番最初に口を開いたのは、シュノさんだった。
「…ごめんなさい。私には、検討がつかないわ…。『青薔薇連合会』に喧嘩を売って、全面対決出来るような組織があるとは思えない」
シュノさんは申し訳なさそうに、しかし正直に答えた。
…事実、その通りだしな。
「唯一あるとしたら、帝国騎士団だけど…。でも、帝国騎士団がそんなことする理由はないはずだわ」
「…ですね」
あいつらは、ルティス帝国を守る存在だ。
俺達に喧嘩を売れば、ルティス帝国の表社会と裏社会が、真っ向から激突することになる。
自他共に認める『青薔薇連合会』の次期首領であるアイズに手を出すとは、即ち『青薔薇連合会』に対する宣戦布告だ。
シュノさんの言う通り、俺達にまともに喧嘩を売って、勝負になるのは帝国騎士団くらい。
でも、そんなことをすれば、ルティス帝国は真っ二つに割れる。
ただでさえ不況が続く今、帝国騎士団はルティス帝国経済を守るのに必死のはず。
俺達に手を出している余裕があるとは思えない。
経済状況が悪いから、わざと戦争を起こして戦争特需を期待する…という可能性も、なくはないが。
帝国騎士団も馬鹿ではない。
『青薔薇連合会』に喧嘩を売れば、特需どころか、ルティス帝国の大地は焦土と化す。
それくらいのことが分からない連中ではない。
それにオルタンスは、シェルドニア王国との開戦も断固反対したそうじゃないか。
そんな男が、みすみす自国を戦場にするとは思えない。
従って、帝国騎士団が犯人という線は、まずないだろう。
「…ルルシーは、どう思います?」
俺は、ルルシーに声をかけた。
しかし、ルルシーの顔色も冴えなかった。
「…悪い。俺もシュノと同じだ。犯人が誰なのか分からない」
「…そうですか」
「ただ…命知らずの連中だってことだけは分かる。それに見合う実力があるってことも…」
…その通り。
ルティス帝国最大のマフィア。泣く子も黙る『青薔薇連合会』。
そんな俺達に、真っ向勝負を仕掛けてこようと言うのだ。
そして、アイズを拉致した手腕。
アジトである、あの廃工場のセキュリティ。
徹底した証拠隠滅。
命乞いもせず、捕まった瞬間自決した敵構成員。
これらの全てを可能にする組織が、ルティス帝国にいくつあることか。


