The previous night of the world revolution5~R.D.~

お見舞いの後。

俺達四人は、ルルシーの執務室に集まった。

アイズ達の前では出来ない「会議」の為だ。

「…俺達全員、同じ気持ちだと思うんで。もう前置きはなしにして、本題に入りますが」

早速、俺はそう切り出した。

「…ぶっちゃけ、犯人誰だと思ってます?」

アイズも、病床で自分なりに検討をつけているのだろう。

しかし、それは怪我人であるアイズの仕事ではない。

俺達の仕事だ。

…しばしの沈黙の後、一番最初に口を開いたのは、シュノさんだった。

「…ごめんなさい。私には、検討がつかないわ…。『青薔薇連合会』に喧嘩を売って、全面対決出来るような組織があるとは思えない」

シュノさんは申し訳なさそうに、しかし正直に答えた。

…事実、その通りだしな。

「唯一あるとしたら、帝国騎士団だけど…。でも、帝国騎士団がそんなことする理由はないはずだわ」

「…ですね」

あいつらは、ルティス帝国を守る存在だ。

俺達に喧嘩を売れば、ルティス帝国の表社会と裏社会が、真っ向から激突することになる。

自他共に認める『青薔薇連合会』の次期首領であるアイズに手を出すとは、即ち『青薔薇連合会』に対する宣戦布告だ。

シュノさんの言う通り、俺達にまともに喧嘩を売って、勝負になるのは帝国騎士団くらい。

でも、そんなことをすれば、ルティス帝国は真っ二つに割れる。

ただでさえ不況が続く今、帝国騎士団はルティス帝国経済を守るのに必死のはず。

俺達に手を出している余裕があるとは思えない。

経済状況が悪いから、わざと戦争を起こして戦争特需を期待する…という可能性も、なくはないが。

帝国騎士団も馬鹿ではない。

『青薔薇連合会』に喧嘩を売れば、特需どころか、ルティス帝国の大地は焦土と化す。

それくらいのことが分からない連中ではない。

それにオルタンスは、シェルドニア王国との開戦も断固反対したそうじゃないか。

そんな男が、みすみす自国を戦場にするとは思えない。

従って、帝国騎士団が犯人という線は、まずないだろう。

「…ルルシーは、どう思います?」

俺は、ルルシーに声をかけた。

しかし、ルルシーの顔色も冴えなかった。

「…悪い。俺もシュノと同じだ。犯人が誰なのか分からない」

「…そうですか」

「ただ…命知らずの連中だってことだけは分かる。それに見合う実力があるってことも…」

…その通り。

ルティス帝国最大のマフィア。泣く子も黙る『青薔薇連合会』。

そんな俺達に、真っ向勝負を仕掛けてこようと言うのだ。

そして、アイズを拉致した手腕。

アジトである、あの廃工場のセキュリティ。

徹底した証拠隠滅。

命乞いもせず、捕まった瞬間自決した敵構成員。

これらの全てを可能にする組織が、ルティス帝国にいくつあることか。