しかし。
「…ごめん。私も、彼らの所属組織は分からなかった」
「…」
「全員サングラスに黒マスクをつけてたし…。彼らの上官らしき人もいたけど、その人もガスマスクをつけて、何も見せなかった」
「…そうですか」
アイズのことだ。
拷問を受けながらも、助かったときの為に、敵の特徴を出来るだけ観察していたはず。
そのアイズが「分からない」と言うのだ。
本当に分からないのだろう。
分からないように…奴らは、こちらに一切の情報も提供しないよう、徹底していたのだ。
「…厄介な相手ね」
「…シュノさんの言う通りですよ」
拠点に何の情報も残さず、拷問中でさえ、一切ボロを出さないとは。
「制服とか…何かエンブレムとかは?つけてなかったのか?」
「何も。服装は、何処にでも売ってる工務店の作業服。エンブレムもなかった」
…それじゃ、何の手がかりにもならないな。
「じゃあどうやって探せば良いんだよ!アイ公にここまでしてくれたんだ。アリューシャが脳天撃ち抜いてやる!でなきゃ気が済まない!」
ベッドの上で、アリューシャが喚いた。
「そんなこと言ってもな、アリューシャ…。お前、肋骨折れてるし、筋肉痛だし…。狙撃はまだ無理だろ?」
「何をぅ!ルル公おめぇ、アリューシャを舐めたな!?アリューシャから狙撃取ったら、何も残らねぇんだぞ!死ぬまで、いや、死んでもライフルにしがみついててやらぁ!」
勇ましくそう言って、アリューシャは飛び起きようとした。
頼もしいことこの上ない。
しかし。
「いでででで!いでー!」
「…当たり前だろ…」
「アリューシャ。無理しちゃ駄目だよ」
超絶スナイパー、筋肉痛に勝てず。
仕方ない。あんな弾四発も撃ったんだもん。命あっただけめっけもんだよ。
「くっそ、おのれぇ…!アリューシャのスナイパー魂は…こんなものじゃねぇはずだろ…!」
「分かってる。アリューシャのスナイパー魂は不屈だって分かってるよ。分かってるから、今は治るまで大人しくしてよう」
「うぅ…。ごめんなアイ公…!アリューシャ、役に立たなくて…!」
「そんなことないよ。助けてもらって、本当に感謝してるよ。ありがとう、アリューシャ。頑張ったね」
「…アイ公~…」
うるうる、と半泣きのアリューシャ。
素晴らしい。感動の場面だ。
ここに水を差すのは野暮だけれども。
アリューシャを、少しでも安心させる為にも。
「まぁ、全くノーヒントって訳じゃありませんから。現場に残ってる足跡や指紋なんかを、鑑識班に調べさせてます。何か出てくるかもしれません」
「…それで、敵分かんの?」
「今はまだ調査中なので、何とも。でも、必ず仇は討ちますよ」
我らのアイズレンシアを傷つけてくれたお礼は、たっぷりしなければ。
『青薔薇連合会』の名が廃るというものだ。
「…ごめん。私も、彼らの所属組織は分からなかった」
「…」
「全員サングラスに黒マスクをつけてたし…。彼らの上官らしき人もいたけど、その人もガスマスクをつけて、何も見せなかった」
「…そうですか」
アイズのことだ。
拷問を受けながらも、助かったときの為に、敵の特徴を出来るだけ観察していたはず。
そのアイズが「分からない」と言うのだ。
本当に分からないのだろう。
分からないように…奴らは、こちらに一切の情報も提供しないよう、徹底していたのだ。
「…厄介な相手ね」
「…シュノさんの言う通りですよ」
拠点に何の情報も残さず、拷問中でさえ、一切ボロを出さないとは。
「制服とか…何かエンブレムとかは?つけてなかったのか?」
「何も。服装は、何処にでも売ってる工務店の作業服。エンブレムもなかった」
…それじゃ、何の手がかりにもならないな。
「じゃあどうやって探せば良いんだよ!アイ公にここまでしてくれたんだ。アリューシャが脳天撃ち抜いてやる!でなきゃ気が済まない!」
ベッドの上で、アリューシャが喚いた。
「そんなこと言ってもな、アリューシャ…。お前、肋骨折れてるし、筋肉痛だし…。狙撃はまだ無理だろ?」
「何をぅ!ルル公おめぇ、アリューシャを舐めたな!?アリューシャから狙撃取ったら、何も残らねぇんだぞ!死ぬまで、いや、死んでもライフルにしがみついててやらぁ!」
勇ましくそう言って、アリューシャは飛び起きようとした。
頼もしいことこの上ない。
しかし。
「いでででで!いでー!」
「…当たり前だろ…」
「アリューシャ。無理しちゃ駄目だよ」
超絶スナイパー、筋肉痛に勝てず。
仕方ない。あんな弾四発も撃ったんだもん。命あっただけめっけもんだよ。
「くっそ、おのれぇ…!アリューシャのスナイパー魂は…こんなものじゃねぇはずだろ…!」
「分かってる。アリューシャのスナイパー魂は不屈だって分かってるよ。分かってるから、今は治るまで大人しくしてよう」
「うぅ…。ごめんなアイ公…!アリューシャ、役に立たなくて…!」
「そんなことないよ。助けてもらって、本当に感謝してるよ。ありがとう、アリューシャ。頑張ったね」
「…アイ公~…」
うるうる、と半泣きのアリューシャ。
素晴らしい。感動の場面だ。
ここに水を差すのは野暮だけれども。
アリューシャを、少しでも安心させる為にも。
「まぁ、全くノーヒントって訳じゃありませんから。現場に残ってる足跡や指紋なんかを、鑑識班に調べさせてます。何か出てくるかもしれません」
「…それで、敵分かんの?」
「今はまだ調査中なので、何とも。でも、必ず仇は討ちますよ」
我らのアイズレンシアを傷つけてくれたお礼は、たっぷりしなければ。
『青薔薇連合会』の名が廃るというものだ。


