病室内に、緊張が走った。
「…捕虜は、捕まえられなかったの?」
「アイズを発見したという連絡が入ってすぐ、上にいた敵構成員を何人か捕らえたわ。拷問して、所属組織を吐かせようと思って…」
アイズの問いに、シュノさんが答えた。
しかし、シュノさんの顔は暗かった。
「でも、拷問するまでもなかった。私達に捕まった時点で、全員、口内に仕込んだ毒で自決したわ」
「…」
…随分徹底しているものだ。
生きて虜囚の辱しめを受けず、ってか?
こちらとしては、良い迷惑だ。
アリューシャが壁を破壊した時点で、工場内に潜んでいた敵部隊の主要人物は、俺達の包囲を振り切って逃げたらしい。
取り残された下級構成員達は、全員俺達に殺されるか、あるいは自決した。
あの場所を再度捜索したが、敵の素性に繋がる証拠は、何も残されていなかった。
拷問のやり方、そして脱出の際に、痕跡を残さないこの手腕…。
間違いなく、俺達の同業者。
それも、かなり手練れだ。
舐めてかかって良い相手じゃない。
敵を逃がさないように、俺達ももっと徹底した包囲をしても良かった。
敵構成員の鹵獲を優先しようと思えば、それは出来た。
しかし、あのとき俺達の最優先事項は、アイズだった。
アイズを取り戻すことが目的で、それ以外は二の次だった。
二兎追う者は、一兔も得ず。
俺は確実にアイズを奪還することだけに集中し、敵の鹵獲は後回しにした。
作戦指揮官として、俺はこの判断を、間違っていたとは思わない。
いくら敵を捕まえたって、アイズを取り返せないんじゃ、何の意味もないのだから。
「…思い出したくないでしょうけど、何か思い出せませんか?敵の素性に繋がる情報…」
どんな些細な情報でも良い。
拷問官の顔、服装、携帯している武器。
何でも良い。
何か特徴を思い出せれば、それを手繰って、アイズ拉致事件の犯人を特定出来るかもしれない。
「…捕虜は、捕まえられなかったの?」
「アイズを発見したという連絡が入ってすぐ、上にいた敵構成員を何人か捕らえたわ。拷問して、所属組織を吐かせようと思って…」
アイズの問いに、シュノさんが答えた。
しかし、シュノさんの顔は暗かった。
「でも、拷問するまでもなかった。私達に捕まった時点で、全員、口内に仕込んだ毒で自決したわ」
「…」
…随分徹底しているものだ。
生きて虜囚の辱しめを受けず、ってか?
こちらとしては、良い迷惑だ。
アリューシャが壁を破壊した時点で、工場内に潜んでいた敵部隊の主要人物は、俺達の包囲を振り切って逃げたらしい。
取り残された下級構成員達は、全員俺達に殺されるか、あるいは自決した。
あの場所を再度捜索したが、敵の素性に繋がる証拠は、何も残されていなかった。
拷問のやり方、そして脱出の際に、痕跡を残さないこの手腕…。
間違いなく、俺達の同業者。
それも、かなり手練れだ。
舐めてかかって良い相手じゃない。
敵を逃がさないように、俺達ももっと徹底した包囲をしても良かった。
敵構成員の鹵獲を優先しようと思えば、それは出来た。
しかし、あのとき俺達の最優先事項は、アイズだった。
アイズを取り戻すことが目的で、それ以外は二の次だった。
二兎追う者は、一兔も得ず。
俺は確実にアイズを奪還することだけに集中し、敵の鹵獲は後回しにした。
作戦指揮官として、俺はこの判断を、間違っていたとは思わない。
いくら敵を捕まえたって、アイズを取り返せないんじゃ、何の意味もないのだから。
「…思い出したくないでしょうけど、何か思い出せませんか?敵の素性に繋がる情報…」
どんな些細な情報でも良い。
拷問官の顔、服装、携帯している武器。
何でも良い。
何か特徴を思い出せれば、それを手繰って、アイズ拉致事件の犯人を特定出来るかもしれない。


