The previous night of the world revolution5~R.D.~

実家に帰らせる?

追い出した癖に?

一番最悪なタイミングで、まだ少年だったルリシヤを、身一つで追い出した癖に?

今更、戻ってこいと?

俺は、全身の血が沸騰するほどの怒りを覚えた。

「ふざけるな!自分から追い出しておいて、今更戻ってこいだって!?自分勝手にもほどがある!」

「僕もそう思います。僕と違ってルリシヤさんは、自分から実家を出た訳じゃない」

そう、追い出されたのだ。

ルリシヤは自分の意思とは関係なしに、無理矢理追放されたのだ。

ルレイアと同じように。

「何でそんなことが出来るんだ。ルリシヤの人生を、めちゃくちゃにしておいて!今更…!」

「ちょっと落ち着いてください、ルルシー」

ルレイアが、激昂する俺を諌めた。

「ルーチェスが悪い訳じゃありませんし、それにあくまで推測です。気持ちはよく分かりますけど、今は落ち着いて聞いてください」

「…!…悪い」

ルーチェスを責めても仕方ない。

クレマティス家に腹は立つが、まずは黙って聞かなくては。

「…どうして、そんなことになるんだ」

「恐らく事の発端は、僕が『青薔薇連合会』に加入する前…『天の光教』の騒動が起きている頃、あるいはその前でしょう」

『天の光教』だと?

あのときにクレマティス家が、どうなったって言うんだ。

クレマティス家と『天の光教』と、何の関係が…。

「『天の光教』で、王族や貴族は…まぁ、簡単に言うと、随分と肩身の狭い思いをさせられました。自業自得なんですけど」

「…それは…」

「おまけにルティス帝国を襲った不景気。これによって、国民のみならず、王候貴族も少なからずダメージを負っています。特に影響を受けるのは、中流以下の貴族…元々、貴族ではあるけども、資金力は比較的乏しい貴族達ですね」

…そこは、一般市民も貴族も変わらないな。

不況でダメージを負うのは、一般市民だけではない。

「僕が調べたところによると、クレマティス家の当主は、不況が始まった頃に、一か八かで投資に手を出し、そして失敗したそうです」

クレマティス家の当主っていうのは…。つまり、ルリシヤの兄のことだよな。

ルリシヤをクレマティス家から追い出した、張本人。

「負債額を試算しましたが、クレマティス家が支払える額を遥かに越えています。所謂…自己破産寸前、ですね」

「…貴族が自己破産したら、どうなるんだ?」

「財産没収されるのは、一般人と変わりませんが…。一般人と何より違うのは、貴族権を国に返還しなければならないことです」

つまり、自宅や金目のものを取り上げられるだけではなく。

貴族としての権利も没収され、一般人に落とされる。

クレマティスという名前は、ルティス帝国貴族社会から抹殺される。

御家取り潰しって訳だ。

ルリシヤは、投資のみならず、賭け事やギャンブルの類は、得意中の得意なのだが。

その兄は、ルリシヤの持つ才能の片鱗さえ持ち合わせていなかったらしい。

ようやく話が見えた。

「…金に困ったから、ルリシヤにすがって、代わりに借金を返してもらおうとしてるんだな?」

「恐らくは」

…よく分かった。

ルリシヤの兄、クレマティス家の当主が、最低の人間だってことが。