The previous night of the world revolution5~R.D.~

「まず、ルルシーさん。くれぐれも、この話は内密に。準幹部にも話していないことなので」

「分かった」

「それと、ルリシヤさんに見つかったら困るので、紙に書き残したりはしないでください。あくまで、ルルシーさんの頭の中にだけ記憶しておくようにお願いします」

俺は、一も二もなく頷いた。

それがルリシヤを守ることに繋がるのなら。

「それから…これから僕が話すのは、あくまで推論です。ルリシヤさんに確認を取った訳ではありませんし、100%確実な証拠がある訳でもありません」

それは仕方ないだろう。

ルリシヤが隠しているのだから、こちらはあくまで推測するしかない。

「その上で、まず、結論から言うと…ルリシヤさんは、ご実家から接触されている可能性があります」

「…!?」

ルリシヤがわざと隠そうとしているのだから、それなりのことなのだろうとは思っていたが。

…実家、だと?

「ルリシヤさんの実家、ご存知ですか?」

「確か…クレマティス家、だったよな」

「正解です。ルリシヤさんは中流貴族の一つ、クレマティス家の次男です」

「…」

嫌な流れになってきた。

俺にとってではない。

ルレイアにとって。

だって貴族の話なんて、ルレイアにとっては…。

「…ルレイア、無理に聞かなくても…」

俺とルーチェスの二人きりにしてくれて良い。

ルレイアにとっては、何度も聞きたくない話だろうから。

しかし。

「大丈夫です。別段、俺に関係のある話でもありませんし」

…それなら、良いけど。

「…無理はするなよ」

「分かってますって。本当心配性なんですから」

心配にもなるよ。

それだけのことがあったんだから。

「…続けても大丈夫ですか?」

「あぁ、済まん…」

ルリシヤが、実家のクレマティス家に接触を図られてる…だったな。

「何でそんなことになる?ルリシヤは、もうとっくに実家との縁は切れてるんだろ」

「はい。僕も『青薔薇連合会』に入る前に、ルリシヤさんのことは色々調べさせてもらいました。…彼が実の兄に疎まれ、帝国騎士官学校入学寸前に、実家から追放されたことも」

「…」

…何回聞いても、嫌な話だ。

ルレイアを地獄に陥れ、闇に堕ちるきっかけを作った、悪魔みたいな学校。

ルリシヤは実家から追い出されたお陰で、あの学校に入らずに済んだ。

そう思えば、むしろ幸いだったのかもしれない。

でも、もしルリシヤがあの学校に無事入学していれば。

ルリシヤは闇の方に堕ちることなく、別の道に…光の方に、生きていられたのかもしれない。

『セント・ニュクス』での…かつての親友との…辛い思い出を作らずに済んだのかもしれない。

今頃帝国騎士団で、誰からも信頼され、称賛され、敬愛される帝国騎士になれていたのかもしれない。

ルリシヤにとっては、どちらが幸せだったのだろう。

それは誰にも分からないし、今更考えても仕方ない。

でも、考えずにはいられなかった。

「…追放されたんだ。縁を切られたんだ。だったら、今更ルリシヤに何の用だ。もう関係ないだろ」

ルリシヤには、今のルリシヤの人生がある。

今更、ルリシヤを追い出したクレマティス家が、何の用だ。

「僕の推測ですが…恐らくクレマティス家は、ルリシヤさんを実家に帰らせたいんだと思います。貴族に戻したいんだと」

「!?」

…なん、だって?