ルリシヤは俺と打って変わって落ち着いた様子で、アイズの傍らにしゃがみ込んだ。
アイズの手首を取り、正確な手付きで脈を測りながら、アイズに呼び掛けた。
「アイズ先輩。聞こえるか。ルリシヤだ。分かるか?」
「…」
ルリシヤが呼び掛けると、アイズはようやく、薄く目を開いた。
ルリシヤは指を三本立てて、アイズに見せた。
「見えるか?何本か分かるか?」
「…三…」
掠れる声で、アイズが答えた。
良かった…意識はある。
「よし、もう安心してくれ。俺達が助けに来たからな」
ルリシヤはアイズにそう声をかけ、後ろを向いて、アイズに聞こえないよう、小声でインカムでルレイアに報告した。
「こちらルリシヤ。ルレイア先輩、アイズ先輩を見つけた」
『分かりました。アイズの容態と、現在地を教えてください』
「意識はあるが、脈が弱ってる。右腹部からの出血と…右前腕部の骨折、その他打撲箇所多数。現在地は地下室。工場奥の右手通路の突き当たりに、隠し扉がある。そこを下ったら地下室だ。位置情報送信する」
『了解。即時医療班を回します』
わざわざ小声で言うのは、アイズ本人に自分の容態を知らせない為だ。
知らせたら、ショックで悪化する恐れがある。
とはいえ、アイズ本人は自分の容態について、既に分かっているだろうが…。
「それから、こちらで応急措置だけ行わせてもらう」
『分かりました。医療班に伝えておきます』
通話を切るなり、ルリシヤはアイズに向き直った。
「アイズ先輩、痛むだろうが、少し止血措置だけさせてくれ」
骨折はともかく、止血は急がなければ。
アイズは既にかなりの出血をしており、このまま放置しておけば、命に関わる。
医療班を待機させてはいるが、この場に到着するまで多少の時間がかかる。
特に出血が酷いのは、右腹部の裂傷だ。
鋭いナイフで、抉られたようになっている。
思わず目を背けたくなるような傷だ。
しかし、ルリシヤは何処までも冷静で、躊躇いなく傷口を直視した。
「アイズ先輩、内臓には達してなさそうだから大丈夫だ」
「…あぁ…そう…」
「今から止血する。少し我慢してくれ」
ルリシヤは、慣れた手付きで止血処置をした。
アイズの苦悶の表情に、俺は心を抉られる思いだった。
…もっと早く、助けに来ていれば。
アイズにこんな辛い思いを、させずに済んだものを…!
アイズの手首を取り、正確な手付きで脈を測りながら、アイズに呼び掛けた。
「アイズ先輩。聞こえるか。ルリシヤだ。分かるか?」
「…」
ルリシヤが呼び掛けると、アイズはようやく、薄く目を開いた。
ルリシヤは指を三本立てて、アイズに見せた。
「見えるか?何本か分かるか?」
「…三…」
掠れる声で、アイズが答えた。
良かった…意識はある。
「よし、もう安心してくれ。俺達が助けに来たからな」
ルリシヤはアイズにそう声をかけ、後ろを向いて、アイズに聞こえないよう、小声でインカムでルレイアに報告した。
「こちらルリシヤ。ルレイア先輩、アイズ先輩を見つけた」
『分かりました。アイズの容態と、現在地を教えてください』
「意識はあるが、脈が弱ってる。右腹部からの出血と…右前腕部の骨折、その他打撲箇所多数。現在地は地下室。工場奥の右手通路の突き当たりに、隠し扉がある。そこを下ったら地下室だ。位置情報送信する」
『了解。即時医療班を回します』
わざわざ小声で言うのは、アイズ本人に自分の容態を知らせない為だ。
知らせたら、ショックで悪化する恐れがある。
とはいえ、アイズ本人は自分の容態について、既に分かっているだろうが…。
「それから、こちらで応急措置だけ行わせてもらう」
『分かりました。医療班に伝えておきます』
通話を切るなり、ルリシヤはアイズに向き直った。
「アイズ先輩、痛むだろうが、少し止血措置だけさせてくれ」
骨折はともかく、止血は急がなければ。
アイズは既にかなりの出血をしており、このまま放置しておけば、命に関わる。
医療班を待機させてはいるが、この場に到着するまで多少の時間がかかる。
特に出血が酷いのは、右腹部の裂傷だ。
鋭いナイフで、抉られたようになっている。
思わず目を背けたくなるような傷だ。
しかし、ルリシヤは何処までも冷静で、躊躇いなく傷口を直視した。
「アイズ先輩、内臓には達してなさそうだから大丈夫だ」
「…あぁ…そう…」
「今から止血する。少し我慢してくれ」
ルリシヤは、慣れた手付きで止血処置をした。
アイズの苦悶の表情に、俺は心を抉られる思いだった。
…もっと早く、助けに来ていれば。
アイズにこんな辛い思いを、させずに済んだものを…!


