The previous night of the world revolution5~R.D.~

アシュトーリアさんが、自分の部屋に帰ってから。

一時間ほどたった頃。

「ただいま~」

ルレイアが、俺の執務室に帰ってきた。

…何で、人の部屋に帰ってきておいて、ただいまなんだよ。

お邪魔しますだろ。

まぁ良い。今はそれよりも。

「いやぁ大変でしたよ。この女は元々俺のものなんだから、あんた達が争っても意味がないって、あんなに丁寧に説明したのに、むしろ逆ギレしてくるんですよ?」

そりゃそうだろうよ。

こいつ、案の定喧嘩の火に油を注いでやがる。

「仕方ないから、平和的に解決しようと思って、やるならやってやろうか、って鎌をちらつかせたら、大人しく引き下がってくれました」

「…」

「いやぁ、穏便に喧嘩を収められて良かったです」

…鎌で脅すことの、何処が穏便なんだ?

と、思っていると。

「おせぇぞルレ公!何処で油売ってたんだ!」

怒るアリューシャ。

「え。どうしたんですか?」

「おめーの力が必要なんだよ!」

「俺の力が?魅力と火力と精力、どれを貸しましょうか」

確かにお前は、どの力も持ち合わせてるな。

でも、そうじゃないんだよ。

ふざけてる場合じゃないから。

「と言うか、シュノさんはどうしたんですか?最近ここに来てませんよね」

あ、こちらが言うまでもなく気づいた。

「そのシュノの話なんだよ。さっきアシュトーリアさんが君を訪ねてきてね」

アイズが説明した。

「あぁ…。シュノさん、最近元気ないですからね、その話ですか」

やっぱり、ルレイアも気づいてたんだな。

気づいていながら、様子見していたのか…。

「その通り。アシュトーリアさんが聞いても、何も答えてくれないらしい」

「こうなったら、シュノ先輩の鉄壁の要塞を崩せるのは、ルレイア先輩しかいないという結論だ」

「頼りにされてますねぇ、さすがルレイア師匠」

…こういうときは頼りになるよな。本当。

普段は、ふざけてるだけなんだけど…。

しかし。

俺は、失念していた。

「分かりました。じゃ、早速ベッドに誘ってきます」

ルレイアが、こういう奴だったということを。

「ちょ、待て。ちょっと待て!」

俺は、今にも駆け出そうとしていくルレイアの腕を、がっしりと掴んで引き留めた。

危ないところだった。

「何するんですかルルシー。俺は、シュノさんを救わないといけないんです」

「その心意気は買うが!でもそうじゃないだろ!」

何でお前は、すぐそっちの発想に行き着くんだ。

そうだな。お前はそういう奴だった。

忘れてた俺が悪い。

「他の方法にしろ、他の方法に!」

「え。何で?女性を慰めるには、ベッドで優しく抱くのが一番ですよ?経験則ですから、これ」

お前が言うと、説得力が段違いだな。

しかも。

「成程。それは良いことを聞きました。女性を慰めるにはベッドに…」

ルーチェスが、余計なことを学んでいる。

こういうところまで似なくて良い。

皆本気にするなよ。ルレイアの言ってることは嘘だからな。

誰がベッドで慰めてこいと言った。

慰めるにしても、やり方ってもんがあるだろうが。

「駄目だ!もっと健全な方法にしろ」

「健全…?」

「全年齢版の慰め方にしろ!」

「全年齢…!?」

そんな、青天の霹靂みたいな顔をするな。

「ルルシー…。あなた、なんという難題を…」

「…」

「健全な慰め方ですか…。うーん、難しい…」

…なぁ。

むしろ、R18の慰め方の方が難しいんじゃないかと思うのは、俺だけか?