The previous night of the world revolution5~R.D.~

…まぁ。

最初に思い付くのは、それだよな。

間違いなく、シュノに一番影響を与える人物は、ルレイアなのだから。

次点でアシュトーリアさんか。

「ルレ公だ!ルレ公に違いない!あの野郎とうとうやりやがったな!ようし、アリューシャが仇を討ってやるからな!奴の股間をぶち抜いてやる!」

「やめてやれ」

何処へ行こうとしてるんだ。

ルレイアと言えども、アリューシャの狙撃に狙われたら危ないぞ。

「ルレイア師匠は、シュノさんに何か恨みでもあるのか?」

事情をよく知らないらしいルーチェス。

…良いから、お前はまずエロ本を横に置きなさい。

目のやり場に困るだろうが。何だその表紙は。

「そうじゃなくて、むしろ逆かな。シュノが、ルレイアにベタ惚れでね」

ルーチェスの問いに、アイズが答えた。

「成程、さすがモテるんだなルレイア師匠は…」

尊敬の眼差しやめろ。

「きっとルレ公だ!ルレ公がシュー公に何かしたんだぜ」

アリューシャは、ルレイアが犯人だと決めてかかっているようだが…。

「どうだかな…。ルレイア先輩ほど、女性の気持ちに通じている男はいない。シュノ先輩を傷つけるようなことをするとは、思えないんだが」

「そうですね。女性の扱いについては、ルレイア師匠は右に出る者がいませんから。僕もそう思います」

説得力がある、二人の後輩達。

そして、俺もそう思う。

「…ルレイアは、シュノの気持ちを知ってるんだ。それなのに、無意識でも、シュノを傷つけるようなことをするとは思えない」

あの気の毒なエリュシアという女性ならまだしも。

ルレイアは、シュノに対しては、家族として扱っている。

異端の特別扱いを受ける、数少ない女性の一人なのだ。シュノは。

ルレイアが無神経な言動をして、シュノを傷つけたとは考えにくい。

「うむむ…。言われてみれば…」

これにはアリューシャも、引き下がらずを得ない。

「アシュトーリアさんは…何か聞いていませんか?シュノから…」

「そうね…」

アシュトーリアさんは、大変浮かない顔だった。

この顔色を見ると…。

「聞いてはみたのよ。何かあったのかって…」

「…」

「でも、何も答えてくれなかったわ。『何でもない』って言うばかりで…」

「…そうですか」

シュノは、アシュトーリアさんのことを、本当の母親のように慕っている。

何でも本音を話せるほどの信頼があるはずだ。

そんなシュノが、アシュトーリアさんにまで口を閉ざすとは…。

「なら…。私達が聞いても、答えてはくれないだろうね」

アイズが、沈んだ顔で言った。

…だな。

アシュトーリアさんにさえ言わないなら、俺達には、絶対言わないだろうな。

…ただ、一人を除いて。

「…分かりました。ルレイアが戻ったら、あいつに相談してみます」

「えぇ…。ルレイアなら、きっとシュノを助けられるわ。…頼むわね」

ルレイアなら。

アシュトーリアさんでさえ引き出せなかった、シュノを本音を…聞き出せるかもしれない。