また、別の日。
「ルーチェス君~。良い匂い~」
セカイお姉ちゃん、って言うかセカイさんが、ひょっこりとキッチンにやって来た。
どうやら嗅ぎ付けたらしい。
オーブンから漂ってくる、芳ばしくて甘い香りを。
「ねーねー何作ってるの?」
「内緒です」
「えー教えてよ~」
出来てからのお楽しみ、ってね。
しかし。
「お姉ちゃんに隠し事をするとは、けしからん弟だ!そんな悪い弟は、お腹をぷにぷにするぞ」
「ぷにぷにって…。僕、ぷにるほど贅肉ついてないですよ。セカイさんじゃないんだか、」
「あら~躾のなってない弟だこと!今何て言ったのかな~?」
「いたたたたた済みません。何も言ってないです」
耳たぶを引っ張られた。
ちぎれるかと思った。
「白状しなさい。お姉ちゃんに隠れて、何作ろうとしてるの」
「隠れて、って隠してはないですけど…。アップルパイです」
「えっ、アップルパイ?」
「えぇ。前、テレビ観て食べたいって言ってましたから」
帝都にある何処ぞのカフェの名物が、焼きたてのアップルパイだって特集をしてて。
それを観ていたセカイさんが、「美味しそう」と言っていたのである。
じゃあ作ってみようかな、と。
「買ってきてくれるんじゃなくて、自分で作ろう、って思うのがルーチェス君の良いところだよね」
「?」
僕は何か、おかしなことでもしただろうか。
「でも嬉しい!可愛いことしてくれるのう~ルーチェス君は~。ういのう、ういのう」
わしゃわしゃ、と頭を撫でられる。
同時に、オーブンが焼き上がりを知らせる電子音を鳴らした。
「ルーチェス君~。良い匂い~」
セカイお姉ちゃん、って言うかセカイさんが、ひょっこりとキッチンにやって来た。
どうやら嗅ぎ付けたらしい。
オーブンから漂ってくる、芳ばしくて甘い香りを。
「ねーねー何作ってるの?」
「内緒です」
「えー教えてよ~」
出来てからのお楽しみ、ってね。
しかし。
「お姉ちゃんに隠し事をするとは、けしからん弟だ!そんな悪い弟は、お腹をぷにぷにするぞ」
「ぷにぷにって…。僕、ぷにるほど贅肉ついてないですよ。セカイさんじゃないんだか、」
「あら~躾のなってない弟だこと!今何て言ったのかな~?」
「いたたたたた済みません。何も言ってないです」
耳たぶを引っ張られた。
ちぎれるかと思った。
「白状しなさい。お姉ちゃんに隠れて、何作ろうとしてるの」
「隠れて、って隠してはないですけど…。アップルパイです」
「えっ、アップルパイ?」
「えぇ。前、テレビ観て食べたいって言ってましたから」
帝都にある何処ぞのカフェの名物が、焼きたてのアップルパイだって特集をしてて。
それを観ていたセカイさんが、「美味しそう」と言っていたのである。
じゃあ作ってみようかな、と。
「買ってきてくれるんじゃなくて、自分で作ろう、って思うのがルーチェス君の良いところだよね」
「?」
僕は何か、おかしなことでもしただろうか。
「でも嬉しい!可愛いことしてくれるのう~ルーチェス君は~。ういのう、ういのう」
わしゃわしゃ、と頭を撫でられる。
同時に、オーブンが焼き上がりを知らせる電子音を鳴らした。


