ちなみに。
コトコトと牛テールを煮込みながら。
「あー!ルーチェス君早い!」
「え?何が?」
「パズルだよ!私、まだちょっとしか出来てないのにぃ」
あ?
セカイさんの手元を見ると、ジグソーパズルの右端の部分が10ピースほど、ちまっとくっついているだけだった。
一方、同時に始めたはずの僕のパズルは、既に左端から真ん中にかけての部分が完成していた。
「何でそんなに早いの?」
「何でと言われても…。パズルの完成図と、ピースの形を見て、こっちのピースはこっちのピースに繋がるんだな、と判断してるだけで…」
「何でそんなこと出来るの!?」
…普通…なんじゃないの?
パズルってそういうものかと思っていたんだが…。
「もしかしてルーチェス君、王宮でパズルばっかりやってた?パズル王子?」
「いえ、初めてですけど」
「…」
「…どうしました?」
「…ルーチェス君の馬鹿ぁ!」
また馬鹿って言われた。
パズルが得意なことは馬鹿なのか。
「何でそんなに何でも出来るのよ~!このっ、このっ」
「ちょ、脇くすぐらないでくださいって…」
「ルーチェス君は弟なんだからなー!私の方がお姉ちゃんなんだから!セカイお姉ちゃんとお呼びなさい!」
「えぇ…?」
「お呼びなさい!」
「…セカイお姉ちゃん…」
「宜しい」
…何故?
怒る基準は何処?
「セカイさんはパズル、」
「お姉ちゃん!」
「…セカイお姉ちゃんはパズル、好きなんですか?」
「好きだよー。時間があるときにね、ちょこちょこやるの」
へぇ。
それは良いことを聞いた。
「でもルーチェス君と一緒にやると、あっという間に出来ちゃうよ。楽しみが薄れる~」
「はぁ、済みません…」
「も~ルーチェス君ったら、何でも器用にこなしちゃうんだから!この間だって、お仕事から帰ってきて、ささーっとロールキャベツ作ってくれたし」
あぁ、あれは美味しかったね。
しかし、器用に出来ることで小言を言われるとは。
こんなときは、自分の天才肌が恨めしい。
「その前は、美味しいアヒージョ作ってくれたし…。アクアパッツァも美味しかったなぁ」
まぁよく覚えててくれて。
有り難い。
そんなに喜んで食べてくれると、こちらとしても作り甲斐がある。
「この間の朝ご飯の手作りピザも、凄く美味しかったよ」
「それは良かったです」
生地からこねて作った、力作だったからな。
喜んでくれたなら良かった。
「で、今日も美味しい牛テール煮込みでしょ?あぁ、ルーチェス君は凄いなぁ。可愛いのう、可愛いのう。セカイお姉ちゃんがなでなでしてあげよう」
なでなで、と撫でられる。
…飼い主に褒められた犬の気分。
「牛テールの方は、まだ美味しいか分かりませんけどね。今煮込み中なんで」
「美味しいに決まってるよ。ルーチェス君のご飯だもん」
何だか随分信頼されているようで。
それで美味しくなかったら、興醒めも良いところだが…。
その後一緒に食べた牛テールのワイン煮込みは、ちゃんと美味しかった。
良かった。
コトコトと牛テールを煮込みながら。
「あー!ルーチェス君早い!」
「え?何が?」
「パズルだよ!私、まだちょっとしか出来てないのにぃ」
あ?
セカイさんの手元を見ると、ジグソーパズルの右端の部分が10ピースほど、ちまっとくっついているだけだった。
一方、同時に始めたはずの僕のパズルは、既に左端から真ん中にかけての部分が完成していた。
「何でそんなに早いの?」
「何でと言われても…。パズルの完成図と、ピースの形を見て、こっちのピースはこっちのピースに繋がるんだな、と判断してるだけで…」
「何でそんなこと出来るの!?」
…普通…なんじゃないの?
パズルってそういうものかと思っていたんだが…。
「もしかしてルーチェス君、王宮でパズルばっかりやってた?パズル王子?」
「いえ、初めてですけど」
「…」
「…どうしました?」
「…ルーチェス君の馬鹿ぁ!」
また馬鹿って言われた。
パズルが得意なことは馬鹿なのか。
「何でそんなに何でも出来るのよ~!このっ、このっ」
「ちょ、脇くすぐらないでくださいって…」
「ルーチェス君は弟なんだからなー!私の方がお姉ちゃんなんだから!セカイお姉ちゃんとお呼びなさい!」
「えぇ…?」
「お呼びなさい!」
「…セカイお姉ちゃん…」
「宜しい」
…何故?
怒る基準は何処?
「セカイさんはパズル、」
「お姉ちゃん!」
「…セカイお姉ちゃんはパズル、好きなんですか?」
「好きだよー。時間があるときにね、ちょこちょこやるの」
へぇ。
それは良いことを聞いた。
「でもルーチェス君と一緒にやると、あっという間に出来ちゃうよ。楽しみが薄れる~」
「はぁ、済みません…」
「も~ルーチェス君ったら、何でも器用にこなしちゃうんだから!この間だって、お仕事から帰ってきて、ささーっとロールキャベツ作ってくれたし」
あぁ、あれは美味しかったね。
しかし、器用に出来ることで小言を言われるとは。
こんなときは、自分の天才肌が恨めしい。
「その前は、美味しいアヒージョ作ってくれたし…。アクアパッツァも美味しかったなぁ」
まぁよく覚えててくれて。
有り難い。
そんなに喜んで食べてくれると、こちらとしても作り甲斐がある。
「この間の朝ご飯の手作りピザも、凄く美味しかったよ」
「それは良かったです」
生地からこねて作った、力作だったからな。
喜んでくれたなら良かった。
「で、今日も美味しい牛テール煮込みでしょ?あぁ、ルーチェス君は凄いなぁ。可愛いのう、可愛いのう。セカイお姉ちゃんがなでなでしてあげよう」
なでなで、と撫でられる。
…飼い主に褒められた犬の気分。
「牛テールの方は、まだ美味しいか分かりませんけどね。今煮込み中なんで」
「美味しいに決まってるよ。ルーチェス君のご飯だもん」
何だか随分信頼されているようで。
それで美味しくなかったら、興醒めも良いところだが…。
その後一緒に食べた牛テールのワイン煮込みは、ちゃんと美味しかった。
良かった。


