The previous night of the world revolution5~R.D.~

…二時間後。

ようやく意識を取り戻した僕は。

「僕、マフィアに単身乗り込んだときでも、あれほどの死の危険は感じませんでしたよ」

「あぅぅぅ…」

「空気って、美味しいんですね。今それを再確認しました」

さっきのあれに比べたら、もう何でも美味しい。

水道水とか超美味い。

「あなたはもう、料理しないでください。僕がやりますから」

僕はキッチンに立ってフライパンを動かしながら、そう言った。

美味しくないどころの騒ぎじゃないから。

死ぬから。

「で、でも、だって…。ルーチェス君に食べてもらおうと思って…」

「気持ちは嬉しいんですけど」

「ルーチェス君は、自分が作るって言うけど…。でも私にも、新妻の意地ってものがあるの!」

「そうですか。でも僕にも、生きる権利があるので」

「…うぅぅ…」

ぐうの音が出ないセカイさん。

「…でもでも、帰ってからご飯作るの、大変でしょ?疲れてるでしょ?」

「え?別に…。好きな人がいる家に帰ってきて、笑顔が見られるのなら、疲れなんか吹っ飛びますし」

「…」

「それに、僕が作ったものを、あなたが喜んで食べてくれると思うと、料理なんて全然苦じゃないです」

「…」

「…どうかしました?」

「…もールーチェス君の馬鹿ぁぁ!」

何故か抱きつかれた。

「どうしたんですか」

「馬鹿馬鹿馬鹿!」

「はぁ、済みません馬鹿で…。それと、出来ましたよ。セカイさんの好きなオムライス」

「またそういうことするからぁ!もー!大好き!可愛いのうルーチェス君は!」

更にぎゅーっ、と抱きつかれる。

この人の萌える基準が分からない。