The previous night of the world revolution5~R.D.~

…数時間後。

「…こうしてあなたと一緒に役所に行けることが、僕の人生で一番幸せな瞬間になるとは…。全く、人生って分からないものですね」

「本当…。私も、人生で誰かとこうして、結婚することになるとは思ってなかったな。ましてや、自分の一番好きな人と」

「そうですか。僕ら、似た者夫婦なんですかね」

「ふふ。似た者夫婦なのかもね」

何の為に、二人で役所に行ったのか。

そんなの、言わずとも知れている。

婚姻届を、出しに行く為である。

そう、婚姻届。

僕とセカイさんは、あらゆるしがらみを、力業で乗り越え。

こうして、無事に夫婦となった次第である。

既婚者だよ、僕。

凄いと思わないか。

師匠より先に結婚しちゃったよ。許されるのかな倫理的に。

まぁ、もう婚姻届出しちゃったので、今更である。

何なら、離婚届不受理申出も一緒に出しておこうか?

「それで、ルーチェス君。住む場所だけど…」

「あぁ。それならもう決めてあります。済みません、勝手に決めちゃって」

「あ、決まってるの?別に良いよ、何処でも」

僕もまだ、内装とか間取りとか見てないんだけど。

もしセカイさんが気に入らないようなら、すぐ引っ越そう。

「早速行きましょうか、新居…。えぇと、ルレイア師匠から送られてきた住所によると…」

『青薔薇連合会君』本部から、車で10分程度のマンションらしい。

割と良い立地である。

僕、マンションって住んだことないんだけど。どんな感じなんだろう。

そもそも、王宮以外の場所に住んでたことがないんだけどね。

「予想以上に狭かったりとかしたら、ごめんなさい」

「良いよ。私、これまでワンルームのアパートで暮らしてたんだもん。余裕だよ」

頼もしい。

役所から、バスに乗って十数分。

目指すマンションが見えてきた。

「あぁ…あれですね」

「えっ…。あんな高そうなマンションなの?」

「確かに、王宮よりは背が高いですね」

「王宮って、君…。あのね、建物の高さのことじゃなくて…」



まぁ、とりあえず入ってみよう。

マンションのエントランスに入り、エレベーターに乗り込む。

えぇと、確か…何階だったっけ。

「凄く高い部屋なんだね…」

「そうですか?」

「私、こんな立派なマンションに入るの初めて」

…そんなに立派かな?

帝都にある一流ホテルに比べると、全然。

エレベーターが到着してから、僕達の住まいとなる部屋に向かって歩き出す。

「あ、この部屋ですね」

事前にもらっていたカードキーで、部屋の鍵を開ける。

さて、新居とご対面。

「うわぁ…」

セカイさん、感嘆。

靴を脱いで、中に入ってみる。

…へぇ…。

「嘘、すごっ…。家具とか、全部揃ってる。あっ…キッチン広い!リビングも…。嘘、浴室乾燥機まである!」

浴室乾燥機って、何だ。

それにしても、ホテルみたいな部屋だな。

こんなもんなんだろうか?一般家庭の住み処って。

僕がかつて住んでいた部屋と比べると、断然狭いけれど。

でも、その分めちゃくちゃ掃除が楽なので、アリだな。

良いんだよ。部屋の中でバスケットボールする必要なんてないんだから。

「部屋数も多いね…。凄く綺麗だし、広いし…」

「そうですか?」

「でも…大丈夫なの?」

何故か、セカイさんは心配そうな顔であった。