The previous night of the world revolution5~R.D.~

「僕が騙されているって、どういう意味ですか」

「殿下、あなたは風俗嬢というものをご存知でないのです。彼女達はハイエナですよ。甘い言葉で客を…つまり殿下を騙し、『自分だけは特別だ』と思い込ませ、金や貴金属を貢がせる…」

「…」

「あなたにとっては、その風俗嬢はただ一人の女性でしょう。しかし、風俗嬢にとっては、あなたは大勢の客のうちの一人でしかないのです。良いカモにされているのですよ」

カモ…カモね。

…くるっぽー。…って、それはハトか。

ともかく、レスリーが言いたいのは、僕がセカイさんに騙されている、と。

セカイさんが僕に優しくするように、他の男にも同じようにしていると。

そう言いたい訳か。

「…レスリー」

風俗嬢という職業をやっている人の中に、そういう類の悪どい女性がいることくらい、僕だって知ってる。

「その程度のこと、見極められない僕だと思いますか?」

「…殿下…」

今まで、僕は色んな人間を見てきた。

皇太子だからこそ分かる。

目の前の人間が、何を目的に自分に近づいてきているのか。

大抵は、権力、出世欲、そして金…。

媚び諂うような目。

あるいは、利用してやろうという目…。

欲にまみれた、醜い人間の顔。

一目見れば、すぐに分かる。

こんなところで生きていれば、嫌でも分かるようになる。

セカイさんは、そういう目で僕を見ていない。

もし彼女が僕を騙して、僕に向かって、純情であるような演技をしているのならば。

彼女は今すぐ店をやめて、女優に転身するべきだ。

一躍大スターになれることだろう。

「いずれにしても、僕が選んで、僕が決めた相手です。責任は、僕が取ります」

「…」

「自分のことを、自分で責任も取れないような人間に、人の上に立つ資格などありません」

僕は馬鹿だろう。

幼稚で、浅はかで、下品で、身勝手な人間だろう。

でも、無責任な人間だとは言われたくない。

「…殿下」

「はい」

「どうか、ご改心ください」

「無理ですね。恐らく」

改心させてもらえるものなら、やっみてくれ。

まず無理だから。

「…」

やがて、レスリーは溜め息をついて、無言で退室した。

…物凄く、罪悪感。

罪悪感を感じるくらいなら、勝手なことするなっての。

「…我が儘だな、僕は…」

マフィアと関わりを持ってしまった以上、もう引き返す道なんてないのに。

誰に何と言って責められることも、覚悟していたじゃないか。

それでも。

それでも僕は、自分の自由に生きたいのだ、と。