The previous night of the world revolution5~R.D.~

「レスリー、あなたもうご老体なんだから、無理しないでください」

「無理を…させているのは、誰のせいだとお思いですか!」

あ、ちゃんと息を吹き返した。

本領発揮。

「百億万歩譲って、勝手に婚約したことは目を瞑るとして…」

物凄い歩数だ。

それ、譲ったことになるのか?

「貴族の娘ではないとは何事ですか!しかも風俗店に勤める女など!」

「水商売の女性に失礼ですよ」

「失礼で結構!一般人なら、誰と婚約しても許されましょう。しかし!ベルガモット王家の血を引くあなたは!しかるべき家の者と結婚する義務があります!」

何だ。しかるべき家って。

しからない家があるのか?

「最低でも、最っ低でも中流貴族以上…!一般人など、しかも素性もはっきりしないような女など、もっての他です!」

「でも、良い人ですよ?美人だし」

「容姿など関係ありません!」

いや、容姿は大事だろ。

ルレイア師匠だって言ってたぞ。

美人は三日で飽きるって言うけどさ。

ブスは三日たってもブスのままだって。

どうせなら、美人な方が良いに決まってる。

「とにかく駄目です!絶対に駄目です!そんなことは、このレスリーの目が黒いうちは、絶対に認めません!」

「…ようは、目の色が変われば良いんですね?ちょっと待ってください。カラーコンタクトを、」

「色が変わっても認めません!」

結局何色でも認めないんじゃないか。

「両親も揃っていない、学歴もない、孤児院育ちの水商売の女など、とんでもない!殿下のお妃として迎える訳にはいきません!先程渡した見合い写真の中からお選びくださいませ!」

「え、嫌ですよ…。そんな、何処の馬の骨とも知れない女…」

「殿下が勝手に婚約なさった女の方が、余程何処の馬の骨とも知れません!」

失礼な。

セカイさんは馬の骨じゃないぞ。

「大体、会ったこともない、愛もない相手とは結婚出来ません」

「でしたら会ってみて、親睦を深めていけば良いではありませんか。いずれも博識で家柄も良く、殿下の身の丈に合ったお相手ですぞ」

「博識で家柄が良いからって、僕と話が合うとは限らないじゃないですか」

「むしろ、何故そんな学のない女と話が合うのです!殿下とは住む世界が違うではありませんか!何の話をしているのですか!」

え?セカイさんと何の話を?

そうだな…。

「僕の身体の何処がぷにぷにしてるかで、あちこち触られまくった挙げ句、ほっぺただけはぷにぷにだって話を」

「…」

「…なんか、口にすると恥ずかしいですね」

まんま、恋人同士の会話って感じ。

恋人同士だからしょうがない。

「…なんと…なんと下品な…」

「恋人同士の会話って、こんなもんじゃないんですか?」

大体、ベッドの上で会ってるんだし。

他にどんな会話をしろと?

政治の話でもすれば良いのか?ベッドの上で?

めちゃくちゃシュールな光景だな。

「…お別れください。今すぐに」

「嫌です」

「いいえ、お別れください」

「自分が処女を奪って、婚約指輪を渡して、結婚を約束した相手を捨てるほど、僕は無責任じゃありません」

皇太子以前の問題。

まず人として最低じゃないか。

「…はぁ…」

レスリーは、何と言ったら良いのか分からない、みたいな顔で深々と溜め息をついた。

何だよ、その溜め息は…。

「…良いですか、殿下…。あなたは、騙されているのです」

…騙される?

僕が?