The previous night of the world revolution5~R.D.~

「けっ…結婚でございますか?」

レスリーは、青天の霹靂だったらしいが。

母は事も無げに頷いた。

「身が定まっていないから、ふらふらと下らないことにもうつつを抜かすのでしょう。妻の一人でも与えて、身を固めさせれば、きっと落ち着きます」

「な、成程…。一理ありますな」

一理も糞もない。

「それに、ベルガモット王室の正当な嫡子の中で、男児はあの子だけです。早いうちに世継ぎを生ませ、王室の未来を安泰にしなくては」

女性でも国王になれるベルガモット王室だが、やはり男児である方が望まれるのは事実。

国内ではともかく、国外からは「所詮は女」と舐められることがあるからだ。

現女王であるアルティシアには夫はいないし、それなら、結婚適齢期で、しかも男児である僕に妻帯させ、生まれた子を世継ぎに定めるのが得策。

おまけに、ふらふらと遊んでばかりいる皇太子も、妻帯し、子が生まれれば、少しは落ち着くだろう。

これぞ一石二鳥。

母はそう考えたのだろう。

そして、レスリーも異論はなかった。

僕が落ち着き、しかも王室も安泰となれば、反対する理由はない。

始めこそ驚いたものの、レスリーは、それは名案とばかりに深々と頷いた。

思えば僕がエロ本ばかり読むのは、性的に欲求不満であるからであって。

そこに妻が出来れば、エロ本を買いに王宮を脱走する、なんてこともなくなるだろう。

更にそこに子供まで出来れば、あの皇太子も、きっと王族としての自覚が芽生えよう。

うん。きっとそうに違いない。

レスリーはそう信じ込んだ。

「畏まりました。では、殿下の妻となるに相応しい娘を、上流貴族の息女の中から数人、選んでおきます」

「えぇ。そうしてください」

皇太子の妻候補は、国内の上流貴族の中から、結婚適齢期の娘を選べば良い。

未来の王妃、そして皇太后になるに相応しい家柄と、人柄の持ち主を。

数人ほど候補を絞って、皇太子に見せ、その中から一人を選ばせる。

そして選んだ娘の家に連絡すれば、それで婚約成立だ。

先方が断ることは、まずない。

ベルガモット王家から正式に、次期国王である皇太子の妻に選ばれたのだ。

断る、などと言えば、神に逆らうも同義。

まず間違いなく断らないだろう。

むしろ、これは大変な名誉だと、もろ手を上げて喜ぶだろう。

自分の家から王妃が出れば、家の名前に箔がつく。

おまけに、ベルガモット王家の親戚筋の一つに数えられることになるのだ。

今後ベルガモット王室の家系図に、名前が載ることにもなる。

貴族として、この上ない名誉である。

こうしてはいられない。

今すぐ、皇太子の嫁候補を探さなくては。

「それでは、失礼致します」

レスリーは嬉々として、母の部屋を出ていった。