その後。
レスリーは、怒りのままにどしどしと歩き、皇太后の部屋を訪れた。
「皇太后様!お忙しいところ、失礼致します」
別に母は忙しくはないはずだが。
女王であるアルティシアと違って、特に公務らしい公務はしていないのだから。
「どうしました、レスリー」
「僭越ながら申し上げます。ご子息であるルーチェス殿下のことですが」
「あの子が、どうかしましたか」
「以前から、何度も、何度も、殿下の脱走癖については申し上げてきたことと存じます」
「…そうですね」
「レスリーは、殿下のこれらの行為を、単なる若気の至りと信じ、殿下が自ら過ちに気づき、更正してくださることを期待して、目を瞑っておりました…」
目を瞑っていたと言う割には、結構口うるさくガミガミ言われてた気もするが。
すると。
「しかし!」
レスリーは、くわっ、と目を見開いた。
「殿下は素行を改めるどころか、この頃ますます酷くなっております!昼間のみならず、夜間にまで外出なされているようで!メイドや使用人の真似事をし、い、い、いかがわしい本ばかりを読み、授業や芸術の稽古を蔑ろにしておられます!」
「…」
「このままでは、殿下は王族としての自覚も忘れ、悪い仲間を作られるやもしれません!」
実は既にマフィアと関わりがあると知っていたら、レスリーは卒倒していただろうな。
おまけに、風俗店にまで出入りしているのだから。
「ここはどうか!母君である皇太后様の口から、殿下をお叱りくださいませ。不肖このレスリーには、もう手に負えませぬ!」
それは申し訳ない。
すると。
「…」
母は少し黙り、そして口を開いた。
「…レスリー」
「はい」
「あの子…ルーチェスは今、いくつだったかしら」
「は…。殿下のお歳ですか?それなら…」
レスリーは、僕の年齢を母に伝えた。
我が子が何歳になるのかすら、覚えていない母親である。
「そう…。もう、そんな歳になるのですね」
「はい。そうだというのに、未だに王族としての自覚が…」
「丁度良いです。なら、あの子を結婚させましょう」
「…は?」
僕は、この場には居合わせていなかったが。
もしレスリーと一緒に、この場にいたとしたら。
きっと僕も、レスリーと全く同じ反応をしたことだろう。
何故、そうなるのかと。
レスリーは、怒りのままにどしどしと歩き、皇太后の部屋を訪れた。
「皇太后様!お忙しいところ、失礼致します」
別に母は忙しくはないはずだが。
女王であるアルティシアと違って、特に公務らしい公務はしていないのだから。
「どうしました、レスリー」
「僭越ながら申し上げます。ご子息であるルーチェス殿下のことですが」
「あの子が、どうかしましたか」
「以前から、何度も、何度も、殿下の脱走癖については申し上げてきたことと存じます」
「…そうですね」
「レスリーは、殿下のこれらの行為を、単なる若気の至りと信じ、殿下が自ら過ちに気づき、更正してくださることを期待して、目を瞑っておりました…」
目を瞑っていたと言う割には、結構口うるさくガミガミ言われてた気もするが。
すると。
「しかし!」
レスリーは、くわっ、と目を見開いた。
「殿下は素行を改めるどころか、この頃ますます酷くなっております!昼間のみならず、夜間にまで外出なされているようで!メイドや使用人の真似事をし、い、い、いかがわしい本ばかりを読み、授業や芸術の稽古を蔑ろにしておられます!」
「…」
「このままでは、殿下は王族としての自覚も忘れ、悪い仲間を作られるやもしれません!」
実は既にマフィアと関わりがあると知っていたら、レスリーは卒倒していただろうな。
おまけに、風俗店にまで出入りしているのだから。
「ここはどうか!母君である皇太后様の口から、殿下をお叱りくださいませ。不肖このレスリーには、もう手に負えませぬ!」
それは申し訳ない。
すると。
「…」
母は少し黙り、そして口を開いた。
「…レスリー」
「はい」
「あの子…ルーチェスは今、いくつだったかしら」
「は…。殿下のお歳ですか?それなら…」
レスリーは、僕の年齢を母に伝えた。
我が子が何歳になるのかすら、覚えていない母親である。
「そう…。もう、そんな歳になるのですね」
「はい。そうだというのに、未だに王族としての自覚が…」
「丁度良いです。なら、あの子を結婚させましょう」
「…は?」
僕は、この場には居合わせていなかったが。
もしレスリーと一緒に、この場にいたとしたら。
きっと僕も、レスリーと全く同じ反応をしたことだろう。
何故、そうなるのかと。


