The previous night of the world revolution5~R.D.~

「えーっと、これはもう要らない…。こっちは…うん、要らないですね」

要らない本を、ドサドサ、と重ねていく。

「こっちは…あぁ、これはまだ要る…」

要る本もまとめて、ドサドサ、と重ねていく。

すると。

「殿下、そろそろ午後のお茶を…。…!?」

そこに、またしてもタイミング悪く。

レスリーが、部屋に入ってきた。

気にせず続けよう。

「で、殿下!?何をしていらっしゃるのですか」

「要らない本の整理を。今流行りの、断捨離、って奴です」

「だんしゃ…。そ、そのようなこと、殿下がなさることではありません。使用人に任せて頂ければ…」

「人にやってもらうんじゃ、意味がないじゃないですか。自分でやることにこそ意義があるんです」

話しながらも、断捨離は続行中。

うん、こっちはもう良いや。

こっちの本はまだ要る。

「殿下…!一体どうなされたのですか。最近様子がおかし、は!?」

お菓子?

「何ですか?」

「な…何ですかはこちらの台詞です!何ですかこの本はっ!?」

レスリーは、積み上げられた本の一冊を見て、顔を真っ赤にしていた。

…は?

何かと思って見てみれば。

あぁ…。

「イケメン獣医師と、若手研修医のBLコミックですね」

「び、びーえる…?」

「見ての通り、衆道本です」

「…!!」

表紙には、獣医師と言うだけあって、獣のように絡み合い、あらぬところを合体させている男二人。

もう、言わずもがな、誰が見ても分かる、見事なBL本だ。

「な、何でこんなものを…」

「いや、発想は悪くないと思うんですが、プレイがアブノーマル過ぎて、むしろ萎えると言うか…。獣姦っていうのがいまいち好きじゃな、」

「そういうことは聞いておりませんっ!」

レスリーも獣姦は萌えないか。

俺も萌えない。

なんか…好みが分かれるプレイだよな。

好きな人には堪らないんだろうけど…。

「ちなみにその下は、女子高生を輪姦するエロ本なんですけど、ちょっと描写がエグいんで萌えなくて…。その下はロリ系で、小学校低学年の女の子が担任の先生と××する話なんですけど、さすがに小学校低学年の女児が××するっていうのは、現実的じゃないなと思って」

せめて第二次性徴は迎えてないと、なぁ?

これはこれで、好きな人には堪らないんだろうけど…。俺は萌えないって言うか…。

レスリーは、そのあまりの下品さに、わなわなと震えていた。

「だからこれらはもう処分して、まだ萌えるものだけを残して片付けようかと」

「で…殿下!次期国王たる方が、そのようないかがわしい本を持っていてはなりません!すぐ処分してください!」

「だから、処分するって言ったじゃないですか」

話聞いてました?ちゃんと。

「全部です、全部!全て!まとめて!」

「全部?全部は嫌ですよ。こっちはまだ萌えますから。特にこの、天然系責めとヤンデレ系受けのBLコミックなんて最高に、」

「いけません!全て処分です!」

何だと?

普段は女性に興味なさそうなのに、いざ受けを前にすると、絶倫の勢いでヤりまくる責めのプレイが、なんとも好みなのだが。

これを捨てられたら困る。

「断捨離とは、要らないものを捨てるのであって、必要なものまで全て処分することではないんですよ」

何もかも、全部捨てれば良いってもんじゃない。

それは断捨離ではない。

「良いから、ちょっと邪魔しないでください。僕は忙しいんです」

「で、殿下っ!」

まぁ、今の僕にはセカイさんがいるからな。

こんなエロ本必要ないだろ、って言われたら、そりゃそうなんだけど。

でもだからって、大事なエロ本を捨てたくないのは、男として当然の心理ではないか?