The previous night of the world revolution5~R.D.~

「さて…やるか」

皇太子の私室と言うのは、無駄に広い。

ここでバスケットボールの試合が出来るくらい。

何なら野球も出来そう。

この広さを、掃除するのは大変だ。

しかし、やってやれないことはなかろう。

ほら、掃除と洗濯はアホでも出来るが、料理は頭を使う、って言うだろ?

つまり料理が出来た僕は、掃除くらい、難なくクリア出来るはずなのだ。

その為に今日も、通販で本を買ってきた。

その名も『猿でも分かる!初心者の掃除テクニック』。

この本、結構シリーズあるんだね。

猿でも出来るオムライスを作れたんだから、猿でも出来る掃除くらい、軽くこなせるよなぁ?

「えー、まずは、はたきで高いところの埃を払う…」

成程。

高いところには、埃が積もるからな。

僕は、掃除婦の用具入れから拝借してきたはたきを手に、はたはたとあちこちをはたいた。

「…」

うん。

びっくりするくらい、埃が落ちてこない。

普段、どんだけ掃除婦が丁寧に掃除してくれてるんだって話。

シャンデリアも、埃一つついてない。

掃除婦さん達の頑張りに、感謝である。

でも、これじゃ掃除のし甲斐がない。

僕の部屋、いくらなんでも綺麗過ぎない?

「これじゃ、掃除してるんだか、余計なことしてるんだか…」

分かったもんじゃないな。

まぁ、あれだ。

ポーズだけでも良い。

大事なのは、掃除の手順を学ぶことである。

それにしても、僕の部屋広過ぎ。

こんなにスペース要らないだろ。

ベッドは大きい方が良いよ?エロ本隠すのに必要だから。

でも、このバスケットコートみたいな広さは何なんだ。

部屋が広いって、良いことのように見えて、掃除する側から見たら、凄く面倒臭いんだなって。

大事なことに気がついた。

やってみて分かる。掃除の大変さ。

はたきをかけるだけで、どんだけ時間かかってんだ。

「あー、今セカイさんが隣で、頑張れ~とか言ってくれたらなぁ…」

多分、めちゃくちゃやる気出るのに。

ぶつぶつ文句を言いながら、はたきをかけ。

次の工程は、いよいよ。

「あ、出た。掃除機をかける…」

本業、って感じだな。