The previous night of the world revolution5~R.D.~

「どうしたの、これ?」

「僕、作ってみたんです。自分で」

「本当?ルーチェス君が作ったの?」

「はい」

驚きの表情を見せるセカイさん。

「でも、料理作ったことないって、前言ってなかった?」

「えぇ。だから初めての試みですよ。まだそれしか作れません」

僕のレパートリー、オムライスのみ。

貧弱過ぎる。

最低でも、10品は作れるようになりたいよなぁ?

レスリーに邪魔されて、なかなか練習する機会がない。

「それは二回目の挑戦です」

一回目より、更に上手に出来たと自負している。

「二回目でこれ…?ルーチェス君、凄いね。料理の才能あるよ、君」

もぐもぐとオムライスを口に運びながら、セカイさんが言った。

うん。実は、僕もそう思う。

もしかして、料理の才能あるんじゃないかなって。

「本当に美味しい。ルーチェス君器用だねぇ」

「ありがとうございます」

「ケチャップがハートなのが、また可愛い」

そこはチャームポイント。

未来の嫁だから、ハート。

「これが家庭の味、って奴なのかな?」

「家庭の味…?」

「私、普通の家の手料理って、馴染みがないから」

…言われてみれば。

僕もそうだな。

コック長の料理は、高級料理ではあるけども。

家庭の味…って感じではない気がする。

「孤児院の料理は不味かったしなー」

「親戚の家にいたときは…?」

「ほとんど菓子パンと冷凍食品ばっかりだったの」

…そうだったのか。

「だから、家庭の味に憧れがあって。きっと、こういうのが家庭の味って言うんだね」

「…」

「美味しいね。ルーチェス君の、優しい味がする」

「…そうですか」

それなら良かった。

本当に良かった。

「また作ってくれる?」

「良いですよ。今度はセカイさんの好物を作りましょう。何が好きですか?」

この際、何をリクエストしてもらっても良いぞ。

『猿でも分かる…』レシピ本に載ってなかったとしても。

自分で調べて、頑張って作ろう。

セカイさんの為なら、レスリーの妨害も怖くない。

「好物かぁ…。そうだな、オムライスかな」

「…」

「ルーチェス君のオムライスが一番好き。私の好物」

「…そう来ましたか」

「そう来るよ」

そう来るとは思わなかったな。

つまり僕は、次もオムライスを作ってくると。

レパートリーが増えません。

「折角なら、別の好物をリクエストしてくれて良いんですよ?何でも挑戦してみますから」

「別の好物?ないよ。ルーチェス君のオムライスが一番好きだもん」

今出来たばかりの好物を言われても…。

次何作れば良いのか、困ってしまう。

「冗談で言ってます?」

「本気で言ってるんだよ」

「それじゃあ僕、オムライスしか作れない男になりますね」

特技、料理じゃなくて。

特技、オムライス作りになってしまう。

いくら好きだからって、365日、三食全部オムライスって訳にはいかない。

「なら、今度はルーチェス君の好物を作ってよ」

「僕の好物?」

「うん。駄目?」

「駄目じゃないですけど…。無理です」

「えぇ~?何でも挑戦するって言ったじゃん」

言ったけど。

言ったけど、僕の好物だけは無理なのだ。

だって。

「僕の好物、セカイさんですから」

「…」

「今目の前にいるので、作れません」

「…」

セカイさんはきょとんとして。

それから、けらけらと笑って、僕を後ろから抱き締めた。

「可愛いのう、可愛いのうルーチェス君は」

「はぁ、ありがとうございます」

「…君の作るものなら、きっと何でも美味しいよ」

そうですか。

じゃあ、また今度、違うもの作ってこよう。

また美味しいって食べてくれたら、僕は満足だ。