The previous night of the world revolution5~R.D.~

ところで。

世の中には、余熱というものがあるのをご存知だろうか。

こいつは曲者だ。

僕がもたもたしているうちにも、卵には余熱で火が通り、折角見極めた半熟のタイミングが台無しになってしまう。

それでは意味がない。

薄焼き卵の形が崩れないように、フライパンとフライ返しを駆使して、ひょい、ひょい、とチキンライスを包んでいく。

この作業の、なんと繊細なこと。

これが猿でも出来るって、出版社は正気か。

すると、横からレスリーがおずおずと。

「あ…あの…殿下…」

「ちょっと黙っててください」

「あ…はい…」

イラッとした。

今集中してるんで。邪魔しないでくれ。

ここで失敗したら、全部台無しなんだよ。

ちょいちょいと形を整え、写真の通りの形を作っていく。

よし。

「あ、レスリーちょっと、そこのお皿取ってください」

「へ?いや殿下、それより何故こんなところで、」

「今余熱と戦ってるんですよ!早く取ってください!」

「あ、あぁ、はいっ」

レスリーは、慌ててテーブルの上に用意していた大きなお皿を持ってきた。

有り難い。

今、フライパンめっちゃ傾けてるから。自分で取りにいけなかった。

この体勢で狙撃されたら、多分避けられない。

フライパンをお皿につけ、くるっ、とひっくり返す。

すると。

「おぉ…!」

全世界の人に見て欲しい。

この、力作オムライスの姿を。

なんて美しい。

自分の才能が恐ろしい。

「超上手く出来てるじゃないですか…」

「は、はぁ。左様ですな…」

「僕もしかして…料理上手いのでは…?」

初めての料理が成功したからといって、ちょっと調子に乗る僕である。

お前、卵を何個か犠牲にしたことを忘れたか。

少なくとも、焦げてはいないし、爆発もしていない。

それに比べれば、セカイさんよりは上手と言って良いかもしれない。

半端じゃない達成感。