翌日。
王家御用達の宝石商が、山のような装飾品を持ってやって来た。
「さぁ、殿下。どうぞご覧ください」
「…」
ほくほくと揉み手しながら、宝石商は僕の前に装飾品の数々を並べ始めた。
煌めかんばかりの、ルビーやエメラルドやサファイアの数々。
目がちかちかする。
それより気になるのは、そのどれもが、男物であるということ。
おまけに、ネックレスやアンクレット、ブレスレットなど、様々な種類の装飾品が並んでいる。
これらには、特に用はない。
「僕、指輪が欲しいんですが」
「指輪ですか?では、こちらなど如何でしょう」
宝石商は、僕の前にきらびやかな指輪の数々を並べた。
「この大粒のタンザナイト!こちらは原産地がごく限られておりまして、非常に希少価値の高いものになります」
「はぁ…」
「ほら、こちらも素晴らしい逸品ですよ。このアレキサンドライト、光に当てると色が変わりまして…」
長々と説明してくれて有り難いが。
でも、婚約指輪には向かない気がする。
婚約指輪って言ったら普通…なぁ?
ダイヤモンドが定番じゃないか?
それとも、今時はこういう、カラーストーンの方が女性受けするのだろうか?
「お気に召しませんか?殿下は青がよくお似合いですから、こちらのブルーガーネットなどおすすめですが…」
「あぁ、いや…。僕がつけるんじゃないんで」
「えっ、贈答品ですか?」
「はい」
そう答えると、宝石商は大変意外そうな顔をした。
僕がプレゼント用に宝石を買うのは、そんなにおかしいか。
「それは失礼を致しました。では、どの指輪をご所望でしょうか」
「そうですね…。ここは定番で…。ダイヤモンドで」
「ダイヤモンドですね。では、こちらの10カラットのダイヤが…」
うわー。ハードル高い。
カラットが大きければ良いってものじゃないだろう。
むしろ重たいと言うか。
でか過ぎると言うか。
でもなぁ、ケチ臭い男だとも思われたくないし。
キリ良く1カラット…。いや、それでも大きいか?
じゃあ0.7くらいで…。いや、それだとキリが悪いか。
なら0.5?ケチ臭いか?
あぁ、なんか分かんなくなってきた。
「じゃあ間を取って、0.8カラットくらいで」
「間を…。殿下がそれで宜しいのならば、構いませんが…」
一般市民にしてみれば、それでも目玉飛び出るような金額なのだろう。
しかし、自分の気に入った宝石となれば、何千万かけても惜しまなかった姉のローゼリアを知っているからか。
宝石商は、王族の割に、思いの外安い買い物をするもんだ、と思っているようだ。
「それで…指輪のサイズですが…」
「あぁ、サイズ…。サイズよく知らないんですよね、多分僕とあまり変わらなかった気がしますけど…」
まぁ、指輪のサイズはいつでも直せる。
とりあえずつけてもらってみて、それから直せば良いや。
王家御用達の宝石商が、山のような装飾品を持ってやって来た。
「さぁ、殿下。どうぞご覧ください」
「…」
ほくほくと揉み手しながら、宝石商は僕の前に装飾品の数々を並べ始めた。
煌めかんばかりの、ルビーやエメラルドやサファイアの数々。
目がちかちかする。
それより気になるのは、そのどれもが、男物であるということ。
おまけに、ネックレスやアンクレット、ブレスレットなど、様々な種類の装飾品が並んでいる。
これらには、特に用はない。
「僕、指輪が欲しいんですが」
「指輪ですか?では、こちらなど如何でしょう」
宝石商は、僕の前にきらびやかな指輪の数々を並べた。
「この大粒のタンザナイト!こちらは原産地がごく限られておりまして、非常に希少価値の高いものになります」
「はぁ…」
「ほら、こちらも素晴らしい逸品ですよ。このアレキサンドライト、光に当てると色が変わりまして…」
長々と説明してくれて有り難いが。
でも、婚約指輪には向かない気がする。
婚約指輪って言ったら普通…なぁ?
ダイヤモンドが定番じゃないか?
それとも、今時はこういう、カラーストーンの方が女性受けするのだろうか?
「お気に召しませんか?殿下は青がよくお似合いですから、こちらのブルーガーネットなどおすすめですが…」
「あぁ、いや…。僕がつけるんじゃないんで」
「えっ、贈答品ですか?」
「はい」
そう答えると、宝石商は大変意外そうな顔をした。
僕がプレゼント用に宝石を買うのは、そんなにおかしいか。
「それは失礼を致しました。では、どの指輪をご所望でしょうか」
「そうですね…。ここは定番で…。ダイヤモンドで」
「ダイヤモンドですね。では、こちらの10カラットのダイヤが…」
うわー。ハードル高い。
カラットが大きければ良いってものじゃないだろう。
むしろ重たいと言うか。
でか過ぎると言うか。
でもなぁ、ケチ臭い男だとも思われたくないし。
キリ良く1カラット…。いや、それでも大きいか?
じゃあ0.7くらいで…。いや、それだとキリが悪いか。
なら0.5?ケチ臭いか?
あぁ、なんか分かんなくなってきた。
「じゃあ間を取って、0.8カラットくらいで」
「間を…。殿下がそれで宜しいのならば、構いませんが…」
一般市民にしてみれば、それでも目玉飛び出るような金額なのだろう。
しかし、自分の気に入った宝石となれば、何千万かけても惜しまなかった姉のローゼリアを知っているからか。
宝石商は、王族の割に、思いの外安い買い物をするもんだ、と思っているようだ。
「それで…指輪のサイズですが…」
「あぁ、サイズ…。サイズよく知らないんですよね、多分僕とあまり変わらなかった気がしますけど…」
まぁ、指輪のサイズはいつでも直せる。
とりあえずつけてもらってみて、それから直せば良いや。


