The previous night of the world revolution5~R.D.~

対峙する、俺とルルシー。

ルルシーの目は怒りに燃えていて、そりゃあもう涎が出そうなくらい魅力的。

なのだが。

ここでそんなふざけたこと言ったら、絶交されかねない。

「…ルレイア」

「はい」

「俺は、今、怒ってる」

「…ですよね」

見たら分かります。

「何で怒ってるか分かるか?」

「えぇ。ルーチェスのことでしょ?」

「そうだ」

それ以外にないもんね。

俺、勝手に決めちゃったもんね。

だって、あのときルルシーを説得しようと思ったら、時間が足りなかったんだもん。

事後承諾にしてもらおうと思って。

ついつい、お怒りのルルシーを無視してしまった。

それは悪かったと思ってるよ。

「…お前、何考えてる?」

「俺が悪いこと考えてると思ってます?」

「何考えてるか分からないから、聞いてるんだよ。お前、何をするつもりだ?」

嫌な勘繰りだなぁ。

「何もしませんよ。彼が弟子にして欲しいって言うから、弟子にしてあげるだけです」

「あいつを通じて、ベルガモット王家にコネを作るつもりか?」

「そんなご大層なことまで、考えちゃいませんよ」

「ルーチェスを利用するつもりじゃないのか。ベルガモット王家に対する手駒にする為に」

やだなぁ。

ルルシーったら、そんな悪いこと考えてたのか?

「しません」

「何で?」

「意味がないからですよ」

現女王アルティシアは、俺達にとって何の脅威にもなり得ない。

王族に手駒は必要ない。

おまけに、そのアルティシアに万が一のことがあって、国王が変わったとしても。

次に王になるのは、さっきのルーチェスだ。

彼が『青薔薇連合会』と敵対するつもりがないのなら、わざわざ王室と関係を持つ必要はない。

「なら、何であいつと手を組んだんだ!」

「彼が弟子にして欲しいって言ってきたから」

「お前は馬鹿か!お前にそのつもりがなくても、向こうがお前を利用するつもりだったらどうするんだ!」

あぁ。

まぁ、その可能性はないとは言い切れないね。

でも。

「それはないですよ、ルルシー」

「何故そう断言出来る!」

「彼が馬鹿じゃないからです」

ルリシヤとまともに渡り合えるほどの実力を持ち。

勝手に王宮を抜け出し、単身マフィアの本拠地に乗り込んでくる度胸。

馬鹿に出来る芸当じゃない。

「この国に、本気で俺達を騙せる人間が、いると思いますか」

「…それは…。でも、女王の差し金かも…」

「あのアルティシアに、そんな度胸はありませんよ」

『青薔薇連合会』とは、努めて関係を避けるようにしているくらいなのに。

わざわざ弟を刺客として差し向けるなんて、そんな恐ろしい考え、思い付きもしないだろう。

帝国騎士団の差し金、ってのも有り得ない。

帝国騎士団が、仕えるべき王族を手駒にする訳がない。

仮にあのルーチェスが替え玉、あるいは影武者なのだとしても…。

…まぁ、疑い出せばキリがないのだが。

だが、彼に関しては、俺は信用出来ると思っている。