The previous night of the world revolution5~R.D.~

これは一体何なのか。

そう、他でもない俺とルルシーの…婚約指輪、だ。

どうだ、見たかルリシヤよ。

これが、俺とルルシーの愛の証だ。

「ぐっ…!うぁぁぁっ!」

ルリシヤはそのあまりの輝きに、2メートルくらい吹き飛んだ。

ふっ。勝ったな。

「どうですかルリシヤ…。黄金の仮面と、このルルシーとの婚約指輪…。どちらがルルシーを勝ち取るに相応しいか、あなたなら分かるでしょう…」

「くっ…!こんなものを用意していたとは…!おのれルレイア先輩、さすがは歴代主人公最強の男…!」

「…なぁ、ルリ公何で吹っ飛んだの?」

「波動でしょ。愛の」

「婚約指輪…!素敵。良かったわねルルシー。おめでとう!」

「祝ってくれてるところ悪いんだが、シュノ。何の話だ?」

とりあえず外野は気にしないことにして。

ルリシヤとの決着をつけよう。

「…俺の勝ちです、ルリシヤ」

「あぁ…そうだな。敗けを認めざるを得ない…。ルルシー先輩を頼むぞ、ルレイア先輩」

「えぇ、勿論…。良い戦いでした」

がっちりと握手を交わす、俺とルリシヤ。

勝者と敗者。先輩と後輩。そして友。

その間に、言葉は要らない。

勝利の余韻に浸っていると、ルルシーが冷たく言った。

「…茶番、終わったか?」

「失礼ですねルルシー…。互いにルルシーの愛を賭けた死闘を繰り広げたというのに」

「賭けるのは勝手だが、俺にお前らへの愛はないぞ」

酷いルルシー。

俺が、こんなにも命を懸けて戦うところを見ていたのに。

この愛に、応えてくれないなんて。

「それでルレイア。聞きたいことが色々あるんだが」

「何ですか?」

「その指輪は何だ?」

え、指輪?

このリングケースに入った黒い指輪のこと?

「ルルシーとの婚約指輪です」

「…」

「こっちがルルシー、こっちが俺。こうして、左手の薬指に嵌めて…」

早速ルルシーの指に指輪を嵌めようとしたのに。

物凄い勢いで、ルルシーの手が引っ込んだ。

「ちょっとルルシー!何で逃げるんですか!」

「ふざけんな馬鹿!誰がお前と婚約なんかするか!」

何だって!?

「酷い!婚約破棄ですよ!指輪まで買ってきたのに!」

「お前が一方的に買ってきたんだろ!俺は一言も婚約するとは言ってないし、そもそもルティス帝国で同性婚は認められてない!」

ルルシーが正論言い始めた。

正論なんて何も救わないのに。

おのれ、こういうときばかりは、あの忌々しいシェルドニア王国が恋しい。