The previous night of the world revolution5~R.D.~

すると。

「ちょ、ちょっと待ってよ。あんた、本当に王子様なの?」

「えぇ」

「じゃあさ、何であんたが国王じゃねぇの?おかしくね?」

相手が皇太子と知っても、遠慮のないアリューシャである。

そして、ルーチェス殿下の方も、全く気にしていない。

アリューシャの疑問はもっともである。

基本的に王室と言えば、王位は男児が相続するものだ。

それなのに、今の国王は女王だし、その前も女王だった。

「ベルガモット王家は、長子相続なもので。男女は関係ないんです」

と、ルーチェス殿下。

「…ちょーしそーぞく?」

「男女関係なく、一番最初に生まれた子供が王様になるってことだよ」

アイズが、アリューシャにそう説明した。

そう。男だろうが女だろうが関係ない。

王位継承権は、年功序列だ。

それに彼の場合…確か、出自が…。

「…それで?」

ルルシーが、厳しい声でそう言った。

「そのお偉い殿下様が、ルレイアに何の用だ?」

ちょっとちょっと、ルルシー。

相手が王族だろうが、関係なしの喧嘩腰。

王族?それがどうした、と言わんばかり。

「さっきも言ったでしょう?僕、憧れてるんです。ルレイアさんに」

「ルレイアやルリシヤの過去も、お前が調べたのか?」

「はい」

…躊躇いなく頷きやがった。

成程、そりゃ皇太子ともなれば、調べられないことはないだろうよ。

王族の特権を使って、帝国騎士団の機密情報でも探ったんだろう。

「そんなことをして何になる。王族なんかがルレイアに近づいて、何を…」

「もう、ルルシーったら…喧嘩腰過ぎますよ」

俺だって、王族なんか糞食らえと思ってるけどさ。

別に、この皇太子に何かされた訳じゃないし。

「ルレイア、お前は警戒心がなさ過ぎだ。王族がわざわざマフィアに…しかも、お前を名指しで接触してきたんだぞ。何か企んでない訳がないだろう」

「特に何も企んでないですよ?」

「ふざけるな。あのローゼリアの弟だ。信用出来るか」

ルルシーは、容赦なくそう吐き捨てた。

あらあら…。完全に、敵意丸出し。

あのローゼリアの弟…ね。

そういう言い方をすれば、確かに警戒するのは分かる。

そもそも、「王族がマフィアに接触してきた」ということそのものが、何かしらの意図を感じさせる。

何も企んでない訳がない。

ルルシーの言う通りである。

「ここに来たのは誰の指示だ?ローゼリアか。アルティシアか?」

「ローゼリアは帝都にはいません。あの馬鹿姉は、今頃あなた方のことなど忘れて、優雅に隠遁生活を楽しんでますよ」

…馬鹿姉?

「ついでに、腰抜けのアルティシアの方は、『青薔薇連合会』を恐れて、あなた方に近寄ろうともしません。ここに来たのは、他でもない僕の意思です」

…腰抜け?

「あなたに会いたかったんですよ。ルレイア・ティシェリー。戦場に黒くはためく、死神然とした長いコート。血の滴る黒い鎌。立ち塞がる者の首を刈り、敵味方問わず恐れられる、ルティス帝国裏社会の絶対君主。もう、最高に、最高に格好良いじゃないですか?」

…格好良い?

「そんなあなたに、僕は一目惚れしたんです。僕の生き方はこれだと。僕は是非、あなたの弟子になりたい」

…一目惚れ?

「僕の師匠になってくれませんか?ルレイアさん」

…師匠?

…この男。

さっきから、勝手なことを言わせていれば…。

「何を馬鹿なことを…!ルレイア、こんな奴叩き出せ。お前なんか、ルレイアの傍に置いておける訳、」

「…採用」

「…は?」

きょとん顔のルルシー。

対する俺の目は、ダイヤモンドのように光り輝いていた。