俺が彼のことを知っているのは、ウィスタリア家の人間としてではなく、帝国騎士団四番隊隊長として、彼と会う機会があったからだ。
帝国騎士団隊長としての叙任式、あとは女王の在位記念式典のとき…。
それも、個人的な話をした訳ではない。
あくまで儀礼的な挨拶だけだ。
ご健勝で何よりです殿下、くらいしか言ってない。
向こうも向こうで、そちらこそお元気そうで、くらいしか言ってないはず。
お互いに興味がないと言うより、王族との挨拶は、あらかじめ台本のように、一言一句決められているからだ。
それ以外の言葉を発することは、不敬罪に当たる。
王族の方も、家臣に対する挨拶の言葉は、あらかじめ決められている。
呪文を唱えているようなものだ。
だから、お互いに儀礼的な会話をすることしか出来なかった。
存在そのものは知っていた。挨拶もしたことはある。
しかし、ローゼリアとアルティシアに弟がいるという事実を知っている者が、この国にどれほどいることか。
とんでもなく失礼なアリューシャの言葉にも、ルーチェス殿下は苦笑して答えた。
「誰でもそう思いますよね。僕もそう思います」
自覚はあるようだ。
「ベルガモット王家は…と言うか王室は、基本的に秘密主義ですからね。一般には、長子以外は、その存在を知られていないんです」
ローゼリア女王が退位したときも、そうだったろう。
あまりにローゼリア女王が目立ち過ぎたせいもあって、その妹であるアルティシアが出てきたとき。
国中が、「あんた誰?いたの?」みたいな空気になってた。
それも仕方ない。
他国による陰謀や暗殺、国内の権力争いなど、王室を巡るあらゆるいさかいを避ける為。
王族の存在は、ほんの一握りの人間にしか知られていない。
意図的に隠されているのだ。
だから、中流貴族以下一般市民は、国王以外の王族を知らない。
下手に知られていたら、シェルドニア王家みたいな面倒なことになるから、知られていない方が良いのかもしれない。
帝国騎士団隊長としての叙任式、あとは女王の在位記念式典のとき…。
それも、個人的な話をした訳ではない。
あくまで儀礼的な挨拶だけだ。
ご健勝で何よりです殿下、くらいしか言ってない。
向こうも向こうで、そちらこそお元気そうで、くらいしか言ってないはず。
お互いに興味がないと言うより、王族との挨拶は、あらかじめ台本のように、一言一句決められているからだ。
それ以外の言葉を発することは、不敬罪に当たる。
王族の方も、家臣に対する挨拶の言葉は、あらかじめ決められている。
呪文を唱えているようなものだ。
だから、お互いに儀礼的な会話をすることしか出来なかった。
存在そのものは知っていた。挨拶もしたことはある。
しかし、ローゼリアとアルティシアに弟がいるという事実を知っている者が、この国にどれほどいることか。
とんでもなく失礼なアリューシャの言葉にも、ルーチェス殿下は苦笑して答えた。
「誰でもそう思いますよね。僕もそう思います」
自覚はあるようだ。
「ベルガモット王家は…と言うか王室は、基本的に秘密主義ですからね。一般には、長子以外は、その存在を知られていないんです」
ローゼリア女王が退位したときも、そうだったろう。
あまりにローゼリア女王が目立ち過ぎたせいもあって、その妹であるアルティシアが出てきたとき。
国中が、「あんた誰?いたの?」みたいな空気になってた。
それも仕方ない。
他国による陰謀や暗殺、国内の権力争いなど、王室を巡るあらゆるいさかいを避ける為。
王族の存在は、ほんの一握りの人間にしか知られていない。
意図的に隠されているのだ。
だから、中流貴族以下一般市民は、国王以外の王族を知らない。
下手に知られていたら、シェルドニア王家みたいな面倒なことになるから、知られていない方が良いのかもしれない。


