The previous night of the world revolution5~R.D.~

「アルティシア女王の弟…だと…?」

さすがのルルシーも、他の皆も、これにはびっくり。

俺も驚いてるくらいなんだから、そりゃそうなる。

拳銃を向けて良いか、悩む相手だ。

『青薔薇連合会』は、非公式ながらではあるが、帝国騎士団と関係がある。

普段は敵対姿勢を見せているが、いざルティス帝国の危機ともなれば、手を組むこともある。

『シュレディンガーの猫』の事件しかり、先日の『天の光教』の事件もしかり。

だが、王室と関わったことはなかった。

当たり前だ。

先王ローゼリアは、俺のせいで失脚させられた。

妹である現女王アルティシアは、姉を失脚に陥れた俺に復讐するどころか。

むしろ俺を恐れてか、全く近寄ってこない。

近寄ってこられてもムカつくけど。

そもそもアルティシアはローゼリアと違って、国政にはあまり積極的に関わろうとしない。

自分には政治的な適性はないことを、知っているのだろう。

良い意味で、帝国騎士団の方に丸投げしている。

よく分かりもしねぇ癖に、下手に口を出すよりは、良い判断だと思うよ。

その点、馬鹿な姉とは違って賢いな。アルティシアは。

で、目の前にいるのは、そのアルティシアの弟。

「弟…いたの!?」

アリューシャの、この超素直な反応よ。

うん。世間一般の正しい反応だ。

俺もウィスタリアの出でなければ、アリューシャと同じ反応になっていただろう。

「風の噂には聞いていたが…。本当にいたのか」

ルリシヤでさえ、この反応なのだ。

無理もない。

ルリシヤは俺と同じ貴族だが、中流貴族だった。

王室の人間にお目にかかるには、最低でも上流貴族。

その中でも更にトップクラスの家の当主でもなければ、ちらりとも見ることを許されなかっただろう。