The previous night of the world revolution5~R.D.~

「お前な、金があるからって無駄なもんを買うな!」

「無駄って…。良いじゃないか黄金仮面。一回つけてみたかったんだよ」

分かる。

「お前の金銭感覚どうなってんだよ!こんなもの買って…!」

「これ、そんなたけーの?ポテチ何袋分くらい?」

「アリューシャが一生かかっても、食べきれないくらいかな」

「マジか!ルリ公やべぇ!」

確かにやべぇ。

そして、ルルシーの怒り具合もやべぇ。

「どうするんだ、こんなもの買って。金遣い荒過ぎるにもほどがある!」

「俺の懐具合を心配してくれてるのか?ありがとう、ルルシー先輩。でも大丈夫だ。ルレイア先輩を見習って、俺も近頃、裏社会でカジノ経営し始めたから」

「!?」

「これがまた小金持ちの道楽者に人気でな。世の中は不景気だが、こんなときだからこそ、むしろカジノは儲かり過ぎて困る」

へぇ~。やるねぇルリシヤ。

成程、それは良い考えだ。

勿論違法カジノだが、『青薔薇連合会』の息がかかっている限り、摘発されることはまずないし。

万一摘発されたとしても、この程度一言で揉み消せるくらいには、帝国騎士団に貸しも作ってある。

怖いものなしだ。

巻き上げられるだけ巻き上げられる。

ルリシヤがどんどんハイスペック化してて、危機感しかない。

「お、お前いつの間にそんなことを…」

「良いですねぇルリシヤ。良ければうちの風俗店と提携しません?『おやつ』になる嬢がいれば、カジノも捗るでしょう」

「ほう、良い考えだな。前向きに検討しよう」

「おい。こんなところで商売の話を始めるな」

おっと。ついつい。

「お前…。全く…はぁ…」

色々言ってやろうとしたのだろうが、何も言えず、ルルシーは溜め息一つで全てを諦めた。

賢明な判断だ。

「そういう訳だ、ルレイア先輩。このまま、優勝商品のルルシー先輩は俺が頂くとしよう」

「ぐぬっ…」

「…は?何言ってんのお前?」

俺も危うい局面だ。

こんな金ぴかな仮面を見せられたら、ハードル爆上がり。

非常に不利な勝負と言わざるを得ない。

「そうは行かない…。俺のルルシーを渡す訳には…」

「ふふ。それならルレイア先輩は、俺の黄金仮面を越える逸品を見せて、ルルシー先輩を奪い返せると?」

「…ねぇアイズ。この勝負って、優勝商品にルルシーが懸かってたの?」

「…みたいだね」

後ろでひそひそ話してるアイズとシュノさんの会話は、聞こえなかったことにして。

「おい、いつの間に俺が優勝商品になったんだ。そもそもこれ、勝負じゃなかっただろ?何の対決だ!?」

「ルルシー先輩は俺がもらう」

「いいえ、そうは行かない。ルルシーは俺が頂きます」

俺は、俺の人生の主人公として。

ヒロインであるルルシーを、ルリシヤに譲る訳にはいかないのだ。