The previous night of the world revolution5~R.D.~

もしあいつが、ルレイアの帝国騎士時代の知り合いなのだとしたら…。

「…悪いが、俺には分からない…」

俺も、帝国騎士団に所属していた時期はある。

だが、ルレイアと違って俺は隊長ではなかったし、何よりルレイアとは所属する隊が違った。

それに、俺は帝国騎士団に入ってすぐ、スパイであることがバレそうになって、帝国騎士団を離反した。

あのときルレイアが、己の身の危険を顧みず、俺を逃がしてくれていなかったら。

俺は多分、今ここにはいられなかった。

「…無理もないね。ルレイアは隊長だった訳だし…。誰が彼のことを知っていたとしても、誰と知り合いだったとしてもおかしくない」

そしてそれは、表の世界のこと。

俺達には干渉出来ない、光の方にいた頃の話だ。

余計、俺達には分からない。

ルレイアと出会う前から、闇の方にいた俺達には…。

唯一、ヒントがあるとしたら…。

「…気になるのは、あいつが俺の過去を知っていたことだ」

と、ルリシヤ。

俺も、それは気になっていた。

『青薔薇連合会』の幹部としてのルリシヤを知っている人物なら、そんなに珍しくもない。

確かにルリシヤは、幹部の中では一番日が浅いけれど。

でもルリシヤは、この見た目からしても目立つし。

実力的にも、あのルレイアに並ぶ、と裏社会では名を知られつつある。

最近『青薔薇連合会』の看板を裏に持つ、カジノの経営を始めたこともある。

ルリシヤの名前を知られていること自体は、問題ではない。

問題は、ルリシヤがかつて『セント・ニュクス』に所属していたことを知っていた点だ。

そんな情報、『青薔薇連合会』でも、末端構成員には知られていない。

『セント・ニュクス』そのものが、それほど知られていた組織ではないのだから。

俺達だって、ルリシヤが現れるまで、『セント・ニュクス』などという組織のことは、ほぼ全くと言って良いほど知らなかった。

知っていたのは、精々名前くらいか?

無理もない。

『セント・ニュクス』は、非合法組織の中でも、つい最近出来たばかりで。

そして、名が広まる前に、ルリシヤが離反し、グリーシュというリーダーが死んだことによって、解散された組織だ。

今では、もう『セント・ニュクス』という組織を知っている者は、ルティス帝国でも、一握りもいないだろう。

それなのに、あの男。

ルリシヤの古巣を知っていた。

一体、何処からそんな情報を得た?

そして、あの男が厄介なのは、情報に通じていることだけではない。