The previous night of the world revolution5~R.D.~

「…」

「…」

「…ルルシー先輩。無言で拳銃を引こうとするな」

だって、あまりにもムカついたから。

こいつ殺してやろうかと。

「済みません。立場上、そうみだりに身分を明かせなくて」

「お前…!そんな戯れ言が、通用すると思ってるのか!」

マフィアの本拠地に、単身飛び込んできて。

おまけに、幹部に一騎討ちを仕掛けてきておいて。

身ぐるみ剥がされずに、無事に帰れると思ったのか。

「済みません。本当はルレイア・ティシェリーさんに会うつもりだったんで」

「…ルレイア先輩になら、身分を明かすつもりがあったと?」

「そうですね」

ルレイアがいないなら、身分は明かさないってことか。

「そんな勝手が…!」

「落ち着いて、ルルシー」

アイズが、エントランスに降りてきた。

「ルリシヤのときと同じだよ。まずは彼の意図を確かめないことには、殺すに殺せない」

「それはそうだが…!」

「君はどうしたいの?」

アイズは、よりによって、敵に意見を求めた。

「そうですね。あなた方の実力は分かりました。僕も納得するところです」

「それで?」

「今日のところは引き上げて良いですか?ルレイアさんがいるときに、また会いに来ます」

…!

「お前…!ルレイアを傷つけるつもりか!?」

「いえ、もう気は済んだので、良いです。次はこんな物騒なものは持たず、手ぶらで来ますよ」

次だと?

また次があるって言うのか?

「アイズ。こいつは危険だ。今ここで殺した方が…」

「だから、落ち着いてってば。彼に敵対の意思はない」

「えぇ、全くないです」

けろりとして言う、狐面の男。

どの口で…!

「だったら、何でルリシヤを!」

「腕試ししたかっただけです。殺すつもりはありませんでした。最初から」

「…!」

そういえば。

この男からは、一切殺気を感じなかった。

俺はそのときになって、ようやく気がついた。

「良いだろう。丸腰で来るなら」

「ありがとうございます」

「アイズ…!」

殺さないにしても、捕らえて、地下に閉じ込めておけば良い。

このまま帰すなんて…。

「良いから、ルルシー。この場は堪えて」

「…っ…」

「そちらに敵意がないなら、こちらもそのつもりはない。良いね?」

「分かりました」

狐面の男は、両剣を拾い上げた。

「それでは、また日を改めて」

そして、そのまま無防備に背中を向けた。

まるで、撃てるものなら撃ってみろ、と言わんばかりの態度だ。

『…アイ公。良いの?』

今なら狙撃出来る。

アリューシャは、そう言おうとしたのだろうが。

でも。

「良い。このまま帰して」

『…分かった』

あくまで、無傷で帰らせるか。

ここはアイズの判断を尊重するが、でも、俺は…。