The previous night of the world revolution5~R.D.~

「俺のお宝は…これだ」

ルリシヤは、小さな紙袋を取り出した。

紙袋は地味な茶色一色で、何処のショップで買ってきたものか分からない。

焦らしてくれるじゃないか。

そういうところ…嫌いじゃないよ。

「ルリ公それ何?美味しいの?」

「食べ物ではないぞ、アリューシャ先輩」

「え~?」

食べ物じゃないと、あまり興味がないらしいアリューシャ。

食べ物ではないか…。大きさからして、ルルシーみたいなヴィンテージワインって訳でもない…。

シュノさんみたいな、宝石類かな?

「俺と言えば仮面、仮面と言えば俺…。既に皆知ってると思うが」

「えぇ、よく知ってます」

「ルリシヤと言えば仮面だものね」

ルリシヤの代名詞だからな。

むしろルリシヤから仮面を取ったら、何が残るのってくらい仮面。

「そんな訳で俺は、これを用意した」

ルリシヤは、紙袋から取り出した小箱をぱかっ、と開けた。

そこには。

「うぐっ…!ま、眩しい…!輝きが眩しい…!直視出来ねぇ…!」

「えっ、えっ、これ本物?本物なの?」

「本物だね。こんなの初めて見たよ」

アリューシャはあまりの輝きに目を背け、シュノさんは動揺し、アイズは感心した。

これには、俺も一杯食わされたと言わざるを得ない。

ここまで自信たっぷりなのだ。相当なものを隠してるとは思っていたが…。

「どうだルレイア先輩。今回ばかりは、素直に敗けを認めてくれても恥ずかしくないぞ」

ふふん、とどや顔のルリシヤ。

この箱に入っているのは、そのどや顔に見合う代物だ。

「…ふふ。やってくれるじゃないですか、ルリシヤ…」

さすがは、前回俺から主人公の座をかっ拐っていっただけのことはある。

相手に不足なしとはこのこと。

これが、ルリシヤの「本気」か。

その覚悟…しかと受け取った。

すると。

ルリシヤの用意したブツを見て、呆気に取られていたルルシーが。

ようやく正気を取り戻して、そしてルリシヤに拳骨を繰り出した…のだが。

ルリシヤは華麗なバク宙で、それをかわした。

何その避け方。俺もやる。

「どうしたルルシー先輩。腕の運動か?」

「お前がふざけたもの買ってくるからだろ!何だこれは!馬鹿か!」

「何って…。見ての通り、純金の仮面だ」

ルリシヤが用意したのは、金ぴかに光る仮面。

そう、純金で出来た、黄金に光る仮面であった。

これは相当経済貢献してると思うよ。

ルティス帝国民、何人か救われたんじゃない?

「お前馬鹿なのか?ルレイアのアホ企画にいくら注ぎ込んだんだ!?」

アホ企画って。失礼な。

これは立派な社会貢献の一環であって。

そして立派な俺の暇潰し企画であって。

「いくらと言われても…。具体的な数字を言う訳にはいかないだろう。チビッ子も見てるんだから…」

そうそう、ちょっと大人の事情がね。

生々しいからね。

「馬鹿かお前!こんなもん作らせてどうするんだよ!」

「貴金属は残しておいても損はないだろう。現金で残すとほら、税金とか諸々の問題がな」

「そういう問題じゃねぇ!こんな無駄遣いして…馬鹿か!前々から思ってたがな、お前は時に、ルレイアとアリューシャより馬鹿だ!」

ちょっと。失礼な。

「俺の何処が馬鹿なんですか~。酷いですよルルシー」

「そうだそうだ!馬鹿って言う方が馬鹿なんだって、『ふるじき』に書いてあるだろ!」

「そういうところが馬鹿なんだよ!」

「アリューシャ、ちょっと近づいたけど、それを言うなら『古事記』だよ」

「古」を「こ」と読めないらしいアリューシャである。

大変。ルルシーが激おこルルシーになっちゃってる。