The previous night of the world revolution5~R.D.~

では次、四番目。

アリューシャの保護者、アイズレンシア。

「さて、次は私だね…」

「アイ公は何ポチったの?」

通販なの?アイズも。

「私はポチってないよ。自分でお店まで行って買ってきたんだ」

ほほう。

アイズが取り出したのは、某一流ブランドのロゴが入った袋。

あれはもしや…。

「どうせなら、普段も使えるものが良いと思ってね。某ブランドショップで、オーダーメイドスーツを仕立ててもらったんだ」

「おぉ…!」

これには、素直に感心。

アイズが見せてくれた真新しいスーツは、目を見張るほどの高級感を放っていた。

俺も生まれが生まれだから、人が身に付けている衣服が「本物」かどうか見分ける審美眼については、鍛えているつもりだ。

あ、こいつエセ成金だ。あ、こいつはガチ金持ちだ。って。着ているものを見れば分かる。

そしてこのスーツは、紛れもなく「本物」だ。

しかも、「本物」の中の「本物」だ。

「ほう…。これはなかなか凄いな、アイズ先輩。さすがだ」

どうやら、ルリシヤの審美眼も確かなようだな。

「なんかすげー…。アイ公がこの服着てるときは、アリューシャうっかり昼寝も出来ねぇな。涎とか垂らしちゃったらやべぇ」

一般人なら、クリーニング代だけで破産するレベルだもんね。

「別に良いよ。アリューシャ。涎がついたら、洗えば良いだけの話だし」

「マジ!?アイ公さんきゅ!じゃあ心置きなく昼寝しよっと!」

「…昼寝やめろよ…」

ルルシーの呆れたツッコミも、涼しい顔でスルー。

涎くらいじゃ全く動じない。さすがは『青薔薇連合会』の次期首領。器の大きさが違うな。

「凄いわね、このスーツ…。取引先に着ていったら、それだけで相手を威圧出来そうだわ」

確かに。

相手によったら、銃口突き付けられるのと同じくらいの威力があるぞ。

「まぁ、高ければ良いって訳じゃないけどね。品位ってものがあるし…。でも、威圧が必要なときは、遠慮なく着ていくことにするよ」

にっこりと微笑む次期首領。

いやはや、このアイズレンシアを相手に、取引交渉しなきゃならない相手が可哀想だな。

「さぁ、私の発表は以上。次はルリシヤだよ」

「遂に来てしまったか、俺の番が…」

お?

「ルリシヤ、あなたさては…。自信アリですね?」

「ふっ。このままでは、俺は大トリのルレイア先輩に恥をかかせてしまうだろうな」

ほう、大きく出たな。

さすがは俺の見込んだ、期待の後輩。

「何なら、順番を譲ってやっても良いぞ、ルレイア先輩。今のうちに出しておいた方が良い」

「言うじゃないですか、ルリシヤ…。さすが次期主人公候補筆頭。ですが、俺はまだ主人公の座を譲るつもりはないですよ」

「ほう?先輩としての威厳を見せてくれるか…。ならば遠慮なく…下剋上させてもらおうじゃないか」

「…こいつら、何の勝負してんの?」

「私達には分からないあれこれがあるんだよ、アリューシャ」

「無駄に格好良く言い合ってないで、早く出せ」

ちょっとルルシー。今良いところなのに。

お決まりのやり取りってものがあるでしょうよ。ねぇ?