The previous night of the world revolution5~R.D.~

僕の立場を、簡単に説明すると。

要するに、王子様だ。

ローゼリア・クラウディナ・ベルガモットの弟。

そして、ルティス帝国の現女王、アルティシア・ルシオラ・ベルガモットの弟だ。

前王、つまり僕の父上は、生きていた頃、正妻、妾を含めて、何人もの子供を作ったが。

正式にベルガモット王家の嫡子として認知されている子供は、三人。

廃位された姉のローゼリアと、現女王であるアルティシア。

そして、唯一の男子である僕。

この三人だけだ。

まぁ、僕の出自はやや怪しいところもあるのだが…。

一応世間に知られている、正当な王位継承者の一人としてカウントされている。

姉であるローゼリアが即位するまでは、僕の父上が国王として君臨していた。

だが、その父上が亡くなったとき、ベルガモット王家は、姉のローゼリアを女王にした。

それは何も、僕が生まれていなかったからでも、他に候補になる男子がいなかったからでもない。

ルティス帝国ベルガモット王家は、元々長子相続制なのだ。

つまり、男女関係なく、第一子が国王になる。

だから、姉のローゼリアがへまをして、廃位されたときも。

次に国王として白羽の矢が立ったのは、第二子である姉、アルティシアだった。

従って、もし姉のアルティシアに何かあれば、次に国王になるのは、第三子である僕だということになる。

迷惑な話だ。

僕は、この国の国王になんか、なるつもりはない。

冗談じゃない。

レスリーは、ベルガモット王家の威厳、と言った。

だが、この王家に威厳などない。

だって、そうじゃないか。

姉ローゼリアが、一体どんな馬鹿なことをして、惨めに廃位されたか。

あれを見て、何が威厳だ。

良い恥さらしじゃないか。

帝国騎士団もそう。

当時女王であった姉、ローゼリアの暗殺未遂事件。

その罪を、あまつさえ自分に忠誠を誓った若い帝国騎士に押し付け、貴族からも追放し、着のみ着のまま放り出すなんて。

それが、王族の所業か?

あの話を聞いたとき、僕は、我が姉ながら心から軽蔑した。

結局その事件がきっかけで姉は失墜し、女王の座を追われたが。

その姉だって、別に国外追放された訳でも、王族としての権利を失った訳でもない。

王位継承権こそなくしたが、未だにルティス帝国の某所で、国民の血税で優雅な生活を送っている。

姉のせいで、人生台無しにされた若い帝国騎士がいるのに、だ。

こんなに都合の良い話があるか?