…ふむ。
これは、実に良い本だ。
日曜の午後、僕は安楽椅子に腰掛けて、読書に勤しんでいた。
すると。
「…殿下。ルーチェス皇太子殿下!」
「…」
…うるさいのがやって来た。
「…何か用ですか?」
「ようやく見つけたましたぞ。また街に降りているのかと…」
ちゃんといるんだから、良いじゃないか。
何故文句を言われなければならない。
「こんなところで、何をしておられるのです!」
何をって、それは見ての通り。
「読書ですね」
「ほう、読書ですか…。それは良いことです。皇太子殿下たるお方は、読書によって見聞を広…め!?」
「め?」
僕の執事のレスリーは、僕が開いている本の表紙を見て、度肝を抜いた。
「な…な…な…」
「な?」
「な、なんという本をお読みになっているのですかっ!!」
なんという本を…って。
「BL漫画です。R18の」
この本は、所謂活字の本ではない。
コミックだ。
しかも、ボーイズラブ…俗に言うBL本。
コミックの表紙には、うら若い青年と、不精髭を生やしたおじさんが、半裸で組み合って頬を火照らしている絵が、でかでかと描かれていた。
良い構図だ。
「これ面白いですよ。一途な受けと、鈍感な責めの愛の駆け引きが…」
「そ、そんなことはどうでも良いのですっ!」
「知ってました?慣れると、男でも後ろだけでイけるらしいですね。都市伝説だと思ってたんですけど…」
「~っ!!」
レスリーは、耐えかねたように僕の手からBLコミックを奪い取った。
あ。
「こ、こんなものは、皇太子殿下の読むものではありません!」
…また始まった。
レスリーの、お馴染みのお説教が。
これは、実に良い本だ。
日曜の午後、僕は安楽椅子に腰掛けて、読書に勤しんでいた。
すると。
「…殿下。ルーチェス皇太子殿下!」
「…」
…うるさいのがやって来た。
「…何か用ですか?」
「ようやく見つけたましたぞ。また街に降りているのかと…」
ちゃんといるんだから、良いじゃないか。
何故文句を言われなければならない。
「こんなところで、何をしておられるのです!」
何をって、それは見ての通り。
「読書ですね」
「ほう、読書ですか…。それは良いことです。皇太子殿下たるお方は、読書によって見聞を広…め!?」
「め?」
僕の執事のレスリーは、僕が開いている本の表紙を見て、度肝を抜いた。
「な…な…な…」
「な?」
「な、なんという本をお読みになっているのですかっ!!」
なんという本を…って。
「BL漫画です。R18の」
この本は、所謂活字の本ではない。
コミックだ。
しかも、ボーイズラブ…俗に言うBL本。
コミックの表紙には、うら若い青年と、不精髭を生やしたおじさんが、半裸で組み合って頬を火照らしている絵が、でかでかと描かれていた。
良い構図だ。
「これ面白いですよ。一途な受けと、鈍感な責めの愛の駆け引きが…」
「そ、そんなことはどうでも良いのですっ!」
「知ってました?慣れると、男でも後ろだけでイけるらしいですね。都市伝説だと思ってたんですけど…」
「~っ!!」
レスリーは、耐えかねたように僕の手からBLコミックを奪い取った。
あ。
「こ、こんなものは、皇太子殿下の読むものではありません!」
…また始まった。
レスリーの、お馴染みのお説教が。


