The previous night of the world revolution5~R.D.~

さて、ここまでルルシーシュノさんと、大変良い流れが出来ている。

ここで三番目に登場するのは、我らが『青薔薇連合会』の頼れる超絶技巧スナイパー、アリューシャ。

「よーし!次はアリューシャの番だな!皆の者!目ん玉かっ開いてよ~く見やがれ!」

「見やがれって言われてもな…。既にお前の後ろに段ボール見えてるから…」

こらこらルルシー。それは言わない約束。

「アリューシャはこれだ!」

ででーん、と三つ重なる段ボール箱。

大きさだけなら、これまでの二人を遥かに凌駕している。

この中には一体、何が隠されているのか…。

…と、言いたいところだが。

ルルシーの言う通り、段ボール箱に商品名が書いてあるから、見せてもらうまでもなくモロバレ。

「刮目せよ、全国のチビッ子達!アリューシャは君達の夢を、一歩先に叶えさせてもらったぜ!」

アリューシャ、超ハイテンションで段ボール箱を開ける。

中には、ポテトチップスがぎっしり詰まっていた。

「これぞ、ポテチ箱買い!どうだ凄いだろうルル公!羨ましいだろう!」

「いや…。別に全然羨ましくないけど…」

「何だと!?貴様、これをただのポテチだと思ってるな!?」

「ただのポテチじゃなかったら何なんだよ。ただのポテチじゃないか」

それを言ったらおしまいよ、ルルシー。

「ただのポテチ!?ポテチを馬鹿にする者はポテチに泣くって、『ふるしき』に書いてあっただろ!」

ふるしき?

全員が首を傾げる中、アイズがすかさず。

「アリューシャ、それを言うなら『古事記』ね」

「それだそれ!」

あぁ『古事記』ね…。ふるしき、成程。

「書いてねぇし、そんなの聞いたことはねぇ」

「あールル公がポテチのこと馬鹿にした!あーあ!PTAに言いつけてやるからな」

「勝手に言え」

PTAもそんな苦情来たら、びっくりするだろうね。

は?ポテチ?みたいな。

それはともかく。

「しかもこれLサイズだぞ!Lサイズ!」

ちょっとリッチなポテチだね。

一人で食べるにはやや贅沢なボリューム。

「そしてうすしお、コンソメパンチ、のりしおの三種類を揃えてある」

「…ふーん…」

ルルシー、そんな興味なさそうな。

もうちょっと相手してあげようよ。

「どうだ、凄いだろう。アイ公にポチってもらったんだぜ」

「またかよ…。自分で買いに行けよ…」

ってことは、アイズは今日アリューシャが何を用意してきたのか、知ってたってことだな。

憎いじゃないか。

「これでケーキ屋は潰れないな。皆で食おうぜポテチ!」

「良かったねーアリューシャ。ポテチたくさんだね」

「アイズ…。お前がそうやって甘やかすから…」

「良いじゃないかルルシー先輩。俺はポテチ好きだぞ」

俺も好き。

それにさ、一般家庭において「贅沢」、「豪遊」って言ったら、きっとこういうことだよ。

ルティス帝国の全市民が、こういうささやかな贅沢をすれば。

きっと、不景気も回復出来るんだろうになぁ。