The previous night of the world revolution5~R.D.~

10分後。

ようやく、ルヴィアは正気に戻った。

が、死ぬほど落ち込んでいた。

「俺はもう捨てられたんです…。俺に生きてる価値はないんです…」

「…」

駄目だ。完全に病んでる。

「へぇ~。それは気の毒ですねぇ」

それなのに、ルレイアは素知らぬ顔で、ルヴィアの注文したフライドポテトを、勝手に摘まんでいた。

こら。

「一体どうしたんだ?何があった?」

嫁関連だろ?どうせ。

お前がこんなになるということは、それ以外はな、

「どーせ、この度の抗争で『出張行ってくるだけ』とか嘘ついて、華弦さん経由でそれがバレて怒られたんでしょ。懲りないですね~あなたも」

「!」

ルヴィアは、雷に打たれたかのように硬直し。

そして、がくんっ、と項垂れた。

お、おいまさか。

「…そうなのか?ルヴィア…」

「だって…だって嫁に心配かけたくなくて…。それだけで…!」

…事実なのか。

ルレイア、お前は何故毎回、見てきたかのように分かるんだ。

「うぅ…。俺は、嫁を騙して…。でも悪気はなかったんだ…」

「そうか…」

気持ちは…分からないこともない。

『厭世の孤塔』は、いつものチンピラ集団とは違う。

非常に凶悪なマフィアであった。

あんな奴らを倒しに行くとなれば、嫁思いのルヴィアのこと、とてもではないが嫁には言えないだろう。

それで、嘘をついたんだ。

しかし、華弦経由でその嘘がバレ…。

で、今に至ると。

「それでお前…今日、追い出されたのか?」

「いえ…。嫁…お義姉さんと一緒に遊びに行きました…」

…そうか。

そりゃ、完全に見捨てられたな。

「本当は、ここで一緒にカラオケデートしようと思って…」

「…」

「家で一人でいたら、なんか嫁の幻覚が見え始めたので…」

「…」

「…幻覚と一緒に、カラオケに来ました」

…そうか。

お前、病院行け。

俺達が来なかったら、依然としてあの変な替え歌を歌っていたかと思うと、なかなかに寒気がするな。

「あはは。惨めにヒトカラ~♪ウケる~♪」

「こらっ、ルレイア」

追い討ちをかけるな。

良いだろヒトカラぐらい。今時普通だろ。

「うぅ…。フューニャ、フューニャごめんよ…」

「…」

惨めに啜り泣く、気の毒な俺の部下、ルヴィア。

何とかしてあげたいところだが、どうしたら良いものか…。