The previous night of the world revolution5~R.D.~

「る、ルヴィア…!?何で、ここに…」

ルヴィアは、勝手に部屋を開けられたにも関わらず、死んだ目でマイクを握っていた。

間違いない。あの目は完全に、嫁に捨てられた目だ。

ルヴィアが歌っているのは、『frontier』の曲だ。

主人公の男性には、思いを寄せている女性がいるのだが、女性は男性の気持ちに気づかない。そんな男性の切なさを歌った、『frontier』の人気曲である。

ルレイアもよく歌ってるから、俺も知ってるが…。

ルヴィアが歌ってるのは、原曲ではなく、ルヴィアバージョンだった。

「…とどかなーい…こいごこーろ~♪俺の嫁~♪フューニャ~…♪」

声死んでるぞ、ルヴィア。

「どんなにおもってーも…。君にはとどかなーい…俺はもう死にたーい…」

おい、勝手に歌詞を残酷にするな。

そこは、「君には届かない、僕の淡い恋心」だろうが。

歌が終わると、画面に採点結果が映し出された。

「72点。ゴミですね」

「いや…。めちゃくちゃ声死んでる上に、勝手に歌詞変えてる割には、良い点数だろ…」

誰もがお前みたいに上手い訳じゃないんだぞ。分かってるか?

「…」

ルヴィアは採点画面を無言で見つめ、またさっきと同じ曲を入れた。

「…とどかなーい…俺のこいごこーろ…」

また歌うのか。それ好きなのか。

こっそり履歴を見たら、こいつ、一時間くらいずっと同じ歌歌ってる。

最早病気だ。

「俺に~…。生きてる価値はなーいー…♪」

おい、そんな歌詞はないぞ。

勝手に変えるな。

『frontier』ファン、大激怒。

「落ち着けルヴィア。画面を見ろ。歌詞違うぞ」

マイクを持つルヴィアの肩を揺する。

何があったのかは…大体検討がつくが、まずはルヴィアを正気に戻さなくては。

しかし。

「嫁にすてられ~た…。俺の末路~…♪」

「そんな歌詞はない。落ち着けルヴィア!正気に戻れ!」

俺は、強引にルヴィアの肩を揺すった。