フューニャは、玄関に駆けつけてはこなかった。
柱の奥から、顔を半分だけ出して、じっ…とこちらを睨んでいた。
…不味い。
これは、何か怒ってるときの行動だ。
「ふっ…。フューニャ…。た、ただいま」
「…」
駄目だ。お帰りも言ってくれない。
絶対怒ってる。絶対何かに怒ってる。
何に怒ってるんだ?三日も留守にしたことか?
「あの、これ…。ケーキ!ケーキ買ってきたんだ。美味しいケーキ屋さんの…。フューニャ、た、食べるだろ?」
「…」
フューニャはじっとこちらを睨み。
こくっ、と頷いた。
良かった。ケーキは食べるらしい。
大好きだもんな。
しかし、こちらにてこてこ寄ってきてくれないのは何故なのか。
俺は一体、何を怒らせるようなことをしてしまったんだ?
思い出せ。思い出せルヴィア・クランチェスカ!
「あ、あ、あの…。ごめんな、三日も留守にして…。寂しかった、よな?」
「…」
…ふるふる、と首を横に振るフューニャ。
めっちゃショックだった。
「えっと…。明日は休みをもらったんだ。一緒に、その…。デートに…」
「…ルヴィアさん」
「は、ひゃいっ」
あまりにも低い声で名前を呼ばれ、俺は噛んでしまった。
「あなた…私に隠していることがありますね?」
「そっ…。そ、れは…」
「…ありますね?」
「…はい」
認めざるを得ない。
ここまで来たら。
フューニャはつかつかと俺に歩み寄ってきた。
しかし、それはいつものお帰りの儀式ではない。
「アシスファルト帝国に出張に行く…とおっしゃってましたよね?」
「…はい…」
「…で?何処に行ってきたんですか?」
「そ、それは…!」
「…『厭世の孤塔』とかいう、凶悪なマフィアと戦ってきたそうじゃないですか」
「…!」
…バレてる。
何故?何故バレた?
何処から漏れたんだ?
「そ、それを何処から…」
「お姉ちゃんに聞きました」
そうだったぁぁぁぁ!
お義姉さんがいたんだった!何故それを失念していたんだ、俺!
今更気がついても、時は既に遅い。
俺は今や、断頭台に立たされた死刑囚も同然である。
柱の奥から、顔を半分だけ出して、じっ…とこちらを睨んでいた。
…不味い。
これは、何か怒ってるときの行動だ。
「ふっ…。フューニャ…。た、ただいま」
「…」
駄目だ。お帰りも言ってくれない。
絶対怒ってる。絶対何かに怒ってる。
何に怒ってるんだ?三日も留守にしたことか?
「あの、これ…。ケーキ!ケーキ買ってきたんだ。美味しいケーキ屋さんの…。フューニャ、た、食べるだろ?」
「…」
フューニャはじっとこちらを睨み。
こくっ、と頷いた。
良かった。ケーキは食べるらしい。
大好きだもんな。
しかし、こちらにてこてこ寄ってきてくれないのは何故なのか。
俺は一体、何を怒らせるようなことをしてしまったんだ?
思い出せ。思い出せルヴィア・クランチェスカ!
「あ、あ、あの…。ごめんな、三日も留守にして…。寂しかった、よな?」
「…」
…ふるふる、と首を横に振るフューニャ。
めっちゃショックだった。
「えっと…。明日は休みをもらったんだ。一緒に、その…。デートに…」
「…ルヴィアさん」
「は、ひゃいっ」
あまりにも低い声で名前を呼ばれ、俺は噛んでしまった。
「あなた…私に隠していることがありますね?」
「そっ…。そ、れは…」
「…ありますね?」
「…はい」
認めざるを得ない。
ここまで来たら。
フューニャはつかつかと俺に歩み寄ってきた。
しかし、それはいつものお帰りの儀式ではない。
「アシスファルト帝国に出張に行く…とおっしゃってましたよね?」
「…はい…」
「…で?何処に行ってきたんですか?」
「そ、それは…!」
「…『厭世の孤塔』とかいう、凶悪なマフィアと戦ってきたそうじゃないですか」
「…!」
…バレてる。
何故?何故バレた?
何処から漏れたんだ?
「そ、それを何処から…」
「お姉ちゃんに聞きました」
そうだったぁぁぁぁ!
お義姉さんがいたんだった!何故それを失念していたんだ、俺!
今更気がついても、時は既に遅い。
俺は今や、断頭台に立たされた死刑囚も同然である。


