The previous night of the world revolution5~R.D.~

帝国騎士団の方は、これでほぼ一件落着なんだけど。

『青薔薇連合会』の方は、そうもいかない。

『厭世の孤塔』の残党を、また数匹逃がしてしまったからである。

こりゃ後々、また面倒なことになるかもなぁ…と思っていたら。

これが、なんと意外な知らせを聞いた。






「え?『厭世の孤塔』の残党が?」

「うん。あの後、部下に脱出口の出口を辿って、足取りを追わせようと思ったんだけど…」

長い長い地下道を抜け、地上に辿り着いた先で。

ようやく一命を取り留めたと安心した、そこで。

何者かによって、惨殺されていたそうだ。

逃がしたと思っていた数匹の残党が、一人残らず。

「どういうことだ?帝国騎士団の差し向けか?」

「いえ、帝国騎士団は、『厭世の孤塔』には関与していないはず…」

それは、契約違反だ。

帝国騎士団は『天の光教』。

俺達が『厭世の孤塔』。

きちんと分業して、それぞれの役割を決めていたはずだ。

帝国騎士団が『厭世の孤塔』に刺客を差し向け、脱出口に待機させていたとは考えにくい。

つまり。

「…何者かがいたんでしょうね。我々の殴り込みをあらかじめ察知し、『厭世の孤塔』の残党が脱出口から出てくると踏んで、待機していた何者かが」

「…」

帝国騎士団でもない。

『青薔薇連合会』でもない、誰か。

「…もしそんな人物がいるのだとしたら、相当な実力があるな」

と、ルリシヤ。

そうだね。

俺達でも面倒臭いほどの相手なのだから。

数匹だったとはいえ、そこらのチンピラごときじゃ、奴らは倒せまい。

「回収した遺体を見たところ、鋭利な刃物で真っ二つにされてる」

「…ふーん…」

俺と同じ戦闘スタイルってことか。

「何者かは知りませんけど…。助かりましたね」

「そうだね」

これで、『厭世の孤塔』は残らず狩り尽くしたことになる。

一体どういう意図があって、俺達の代わりに『厭世の孤塔』の残党を狩ってくれたのかは知らないが…。

「…是非とも会ってみたいですね」

いや、会える気がする。

俺の、死神の勘が当たっていたらな。