そこからは、総力戦であった。
『青薔薇連合会』への復讐が目的というだけあって、『厭世の孤塔』はこの地下室を要塞のようにして、俺達を迎え撃つ準備をしていた。
まぁ、俺がダイナミック入室したせいで、やや指揮系統が乱れているようだが。
てへっ。
それはともかく、相変わらず『厭世の孤塔』の残党達は、やはり十把ひとからげのマフィアとは違った。
兵の練度が桁違いだ。
ルアリスの『青薔薇十字軍』をアリンコの集団だとしたら、こいつらは本物の人間の軍隊だ。
俺の鎌を前に、逃げ出さないというだけでも立派なもんだ。
ちょっと俺の鎌、今なまくらなんだけど。
「ちっ。切れ味が悪い」
一振りで敵の首を刈れなくなってきた。
ここに来るまで、何人も斬ってきたせいで、ただでさえ血と脂肪で切れ味が悪くなってるのに。
コンクリ壁破壊のせいで、かなり劣化が激しい。
一応これでも使えるには使えるが、死神的爽快感に欠ける。
それに、気になることがもう一つ。
多分、ルルシーも気づいてるんだろうけど。
「…アリューシャ!俺達は良いので、シュノさんのサポートを!」
「!分かった」
中衛が、押されている。
前衛の俺とルルシーは、互いに背中を守り合って、夫婦の完璧なフォーメーションで迎撃しているが。
中衛を守るシュノさんが、やや押され気味になっている。
シュノさんの戦闘力が欠けている訳ではない。
単純に、数の暴力に押されているだけだ。
おまけに、シュノさんには、後衛で砲台を務めるアリューシャを護衛するという役目もある。
俺達も、出来るだけシュノさんのいる中衛に敵を回さないよう、努めてはいるが。
この兵の練度では、限界がある。
そして。
「くっ…!」
「シュノさん!」
シュノさんの左手を、敵の銃弾が掠めた。
鮮血が迸り、シュノさんは苦悶の表情を浮かべた。
「大丈夫ですか!?」
もしシュノさんが倒れるようなことがあれば、そのときは作戦変更だ。
彼女を失う訳にはいかない。
しかし。
「大丈夫、掠めただけだから」
シュノさんは気丈にそう言って、また態勢を立て直した。
掠めただけとは言うが、止血は必要だし、痛みも相当なもののはず。
『シュノ。無理せず退いて。少し前線を下げる』
アイズが、インカムからそう指示した。
彼らしい判断だ。
シュノさんが被弾して、彼女をこのまま戦わせるより、前線を下げて陣を立て直すことを選んだ。
「っ、私は平気よ!これくらい…」
「シュノさん、ここは…」
抗弁しようとするシュノさんを説得して、俺とルルシーも一時少しだけ下がろうとした。
すると、そのとき。
「大丈夫だ、アイズ先輩。その必要はない」
救世主、ルリシヤが合流した。
「ルリシヤ…!」
「済まない、遅くなったな」
待ってたよ、君の合流を。
「全くもう。デートに遅れるなんて、男性失格ですよ?」
「失敬。ヒーローはいつも遅れてやって来る、って奴だ」
言うじゃないか。
さすが、俺の見込んだ後輩だ。
『青薔薇連合会』への復讐が目的というだけあって、『厭世の孤塔』はこの地下室を要塞のようにして、俺達を迎え撃つ準備をしていた。
まぁ、俺がダイナミック入室したせいで、やや指揮系統が乱れているようだが。
てへっ。
それはともかく、相変わらず『厭世の孤塔』の残党達は、やはり十把ひとからげのマフィアとは違った。
兵の練度が桁違いだ。
ルアリスの『青薔薇十字軍』をアリンコの集団だとしたら、こいつらは本物の人間の軍隊だ。
俺の鎌を前に、逃げ出さないというだけでも立派なもんだ。
ちょっと俺の鎌、今なまくらなんだけど。
「ちっ。切れ味が悪い」
一振りで敵の首を刈れなくなってきた。
ここに来るまで、何人も斬ってきたせいで、ただでさえ血と脂肪で切れ味が悪くなってるのに。
コンクリ壁破壊のせいで、かなり劣化が激しい。
一応これでも使えるには使えるが、死神的爽快感に欠ける。
それに、気になることがもう一つ。
多分、ルルシーも気づいてるんだろうけど。
「…アリューシャ!俺達は良いので、シュノさんのサポートを!」
「!分かった」
中衛が、押されている。
前衛の俺とルルシーは、互いに背中を守り合って、夫婦の完璧なフォーメーションで迎撃しているが。
中衛を守るシュノさんが、やや押され気味になっている。
シュノさんの戦闘力が欠けている訳ではない。
単純に、数の暴力に押されているだけだ。
おまけに、シュノさんには、後衛で砲台を務めるアリューシャを護衛するという役目もある。
俺達も、出来るだけシュノさんのいる中衛に敵を回さないよう、努めてはいるが。
この兵の練度では、限界がある。
そして。
「くっ…!」
「シュノさん!」
シュノさんの左手を、敵の銃弾が掠めた。
鮮血が迸り、シュノさんは苦悶の表情を浮かべた。
「大丈夫ですか!?」
もしシュノさんが倒れるようなことがあれば、そのときは作戦変更だ。
彼女を失う訳にはいかない。
しかし。
「大丈夫、掠めただけだから」
シュノさんは気丈にそう言って、また態勢を立て直した。
掠めただけとは言うが、止血は必要だし、痛みも相当なもののはず。
『シュノ。無理せず退いて。少し前線を下げる』
アイズが、インカムからそう指示した。
彼らしい判断だ。
シュノさんが被弾して、彼女をこのまま戦わせるより、前線を下げて陣を立て直すことを選んだ。
「っ、私は平気よ!これくらい…」
「シュノさん、ここは…」
抗弁しようとするシュノさんを説得して、俺とルルシーも一時少しだけ下がろうとした。
すると、そのとき。
「大丈夫だ、アイズ先輩。その必要はない」
救世主、ルリシヤが合流した。
「ルリシヤ…!」
「済まない、遅くなったな」
待ってたよ、君の合流を。
「全くもう。デートに遅れるなんて、男性失格ですよ?」
「失敬。ヒーローはいつも遅れてやって来る、って奴だ」
言うじゃないか。
さすが、俺の見込んだ後輩だ。


