The previous night of the world revolution5~R.D.~

神の愛を知れば、誰もが救われる。

誰もが豊かな気持ちになり、隣人を愛するようになる。

それはとても幸せなことで、考えるまでもなく正しい人の生き方なのに。

私がいくらそれを説いても、誰も聞き入れてはくれなかった。

孤児院の仲間達は、いきなり神について語り出す私を、「頭がおかしくなった」と笑い、からかった。

先生達に話したら、不気味なものでも見るかのような目で見て、そそくさと逃げていった。

何故なのだろう。

私は正しいことを言っている。

私はただ、誰もが幸せに、平等に生きる為の唯一の手段…つまり信仰すること…を、教え説いているだけなのに。

何故、誰も耳を貸してくれないのだろう。

何故、誰も本気で聞いてくれないのだろう。

誰もが神の道に生きれば、誰もが平等に幸せになれるのに。

何故、それを理解してくれないのだろう。

…おかしい。

そして、私は気づいたのだ。

神の愛に気づかない憐れな人々は、孤児院という、私の周りの小さな世界に限らない。

それどころか、国全体がそうではないか。

アメリア教という、素晴らしい宗教が、この国にはあるのに。

私のように、毎日祈りを捧げるほどの信仰心を持った国民が、どれほどいる?

彼らは気づかない。すぐ傍に溢れている神の愛に。

彼らは気づかない。すぐ隣にいる人々が、自分と同じように、幸せになる権利があることに。

誰もが自分のことしか考えない。

自分と、自分の周りの小さな世界のことしか。

自分さえ良ければ、それで良い。

そんな考えが、国全体に蔓延していた。

だから、アメリア教が浸透していかない。

よく見れば、国のトップだってそうじゃないか。

時代錯誤な王政。貴族制度。

帝国騎士団による支配。

国を統治する彼らが、アメリア教を信じてない。

宗教というものを、軽んじている。

彼らがアメリア教を軽んじるから、国民達も同じように、宗教を信じない。

それが問題なのだと気づいた。

そうだ。この国の政府は狂っている。

幼い頃の私のように、貧しく、辛い思いをしている弱者がいるのに。

神の教えが正しく広まっていれば、そんな弱者を生み出す世の中には、ならなかったはずだ。

人は皆平等で、神の愛によって守られ、人を互いに愛し合うべき存在なのだと。

こんな簡単なことが、分からない。

だって彼らは、自分さえ良ければそれで良いと思っているのだから。

国のトップがこんな考えでは、永遠に私のような弱者は消えない。

自分達の特別な権益を守る為に、弱者を踏みつけにしているような人間が、国の頂点に立つべきではない。

国民達がその事実に気づくには、どうしたら良いのか。

私は考えた。

この狂った国を変えるには、どうしたら良いのか。

そして気づいた。

アメリア教では、駄目なのだと。