The previous night of the world revolution5~R.D.~

ある日。

私は、一人で広い食堂を掃除していた。

本当は、班の皆で掃除をすることになっているのだが。

いじめられっ子の私は、掃除当番を一人で押し付けられた。

私は、一人でぽつねんと、広い食堂にモップをかけていた。

そのときだった。

食堂の片隅にある小さな本棚の中に、それを見つけた。

「…?」

いつもなら、こんな古ぼけた本棚には、見向きもしなかった。

誰も、私も。

だけどその日は何故か、目に留まった。

これこそ、神が私を真理の道に導いてくれた瞬間だった。

古びた小さな本棚に入っていた本。

それは、ルティス帝国で国教とされている、アメリア教の聖典だった。

一体誰が、何処から持ってきた本なのか。

手に取ってみると、表紙は擦りきれてボロボロで、ページもくしゃくしゃになっていた。

子供達は、普段こんなものには見向きもしない。

ましてや宗教の本なんて、誰も読まない。

誰にも読んでもらったことのないその聖典を、私は薄汚れたワンピースの下に隠した。

自分の部屋に、持って帰ろうと思ったのだ。

何故そのときそうしたのか、私には説明がつかない。

不意にそうしたくなった、としか言えない。

まさに、神の導きだったのだ。