The previous night of the world revolution5~R.D.~

…懐かしい名前じゃないか。

「俺ももう長いことマフィアやってますけど…。未だにその名前を聞くことになるとは」

あいつら、根が深いにもほどがあるだろ。

俺がマフィアに入って、割とすぐに一戦交えて。

その後名前を聞いたのは、確かルリシヤの…『セント・ニュクス』のときだっけ。

つまり、残党の残党の残党ってことだな。

どんだけしぶといんだ。

「まだ生きてたのか、あいつら…」

「しぶとっ…!そいつゴキブリじゃね?アリューシャと同類じゃね?」

「アリューシャは良い子だよ」

すかさずアイズがフォロー。

うん。アリューシャは良い子だよ。

ただ、頭がちょっと残念なだけで。

「…『厭世の孤塔』か…」

ルリシヤは、この表情である。

仮面でよく見えないが、冴えない表情なのは確かだ。

彼にとっては、古巣である『セント・ニュクス』を間接的に破滅に導いた組織。

俺達以上に、思うところはあるだろう。

それに。

「…アイズを拉致した犯人が、これではっきりしましたね」

「…そうだね」

間違いない。

犯人は、『厭世の孤塔』だ。

「…拉致?どういうことだ?」

あぁ、オルタンス達は知らないんだっけ。

知らなくて良いわ。お前らは。

「何でもない、こちらの話です」

とにかく、これで敵の姿ははっきりした。

「『青薔薇連合会』にとっても、彼らは因縁のある組織だろう」

「そりゃあもう」

むしろ因縁しかないってくらい。

「『厭世の孤塔』と組み、一般人の命を奪った『天の光教』を、我々はもう看過することは出来ない。彼らの宗教団体としての権利を剥奪し、ルチカ・ブランシェット以下、『天の光教』幹部達にも逮捕状を出すつもりだ」

「…」

事実上、『天の光教』の解体だな。

「『天の光教』が武装している以上、戦闘は避けられないだろう。我々が…」

「突入はいつです?」

「…今夜11時だ」

「宜しい。では、『青薔薇連合会』も突入に協力しましょう」

オルタンスは、少し意外そうな顔をした。

「参加する気があったのか」

この野郎。

俺達が、高みの見物してると?

まぁ、普段ならそういう面倒なことは帝国騎士団に押し付け、俺達は優雅に紅茶でも飲んでるところだが。

今回は、そういう訳にはいかない。

「我々が狙うのは、あくまで『厭世の孤塔』です。彼らには落とし前をつけてもらわないといけない。『天の光教』などどうでも良い。こいつらは、お宅らに任せます」

『天の光教』や、ルチカ・ブランシェットのことなどどうでも良い。

帝国騎士団の方で、煮るなり焼くなり揚げるなり、好きにすれば良い。

元々、表社会の組織である『天の光教』に、俺達は手出し出来ないのだ。

だが、『厭世の孤塔』は別だ。

奴らは裏社会の組織であり、俺達『青薔薇連合会』にちょっかいをかけた挙げ句、『セント・ニュクス』を間接的に崩壊させ。

おまけに、我らが次期首領、アイズレンシアを傷つけてくれた。

相当の「お礼」をしなくては、『青薔薇連合会』の名が廃るというもの。

それに。

「あなた方だけに任せて、貸しを作るのは癪ですからね。俺達が『厭世の孤塔』、帝国騎士団が『天の光教』。それぞれ分業です」

お互い、それぞれ表と裏を担当する。

これで、貸し借りなし。

「…分かった」

オルタンスも異論なし。

「…まぁ、妥当なところだね」

アイズの方も異論なし。

じゃ、そういうことで。