The previous night of the world revolution5~R.D.~

アイズの説明は、今のルティス帝国の現状を分かりやすく表している。

まぁ、ケーキ屋さんに例えているから、現実とは多少異なる点もあるものの。

要するにはそういうことだ。

ケーキ屋さんが、ようやく美味しいケーキを売り始めて。

皆、そのケーキを美味しく食べてるのに。

そんなときに「神の教えが…」、「デモに行こう…」とか言われたら、どうよ。

「うるせー黙ってろ」って、思うだろ?

そんな状態。

「今ケーキ食ってんだよ。そんな下らない話は後にしろ」って。

衣食満たされて礼を知る、ってね。

ケーキを美味しく食べてるときに、胡散臭い宗教の話なんて聞きたくもない。

帝国騎士団が行った経済政策と、加えてシェルドニア王国との有利な貿易のお陰で、ルティス帝国はほぼ完全に、景気を回復させた。

『天の光教』が台頭してくる前の状態に戻したのだ。

そうすると、皆懐が段々暖かくなってくる。

企業は資金繰りに余裕が出来始めて、従業員に充分な給料を与えることが出来るようになってくる。

そうすると、今度は新たな従業員を雇うことも出来る。

そのお陰で、今まで生活に困っていた人達も、余裕が出来てくる。

食糧品や衣料品の値段も下がり、地方にいる下流市民の手にも届き始める。

シェルドニアから、食糧品を安く輸入出来たことも大きい。

要するに、食べ物に困る人が急激に少なくなってきたのだ。

そして、生活に余裕が出来始めた人々は。

途端に、神への信仰心を失った。

これがどういうことか、お分かりだろうか。

「溺れているときは、人間は藁にも手を伸ばす。でも、溺れてもいないときに、藁に手を伸ばす人がいると思う?」

アイズは、またしても簡潔にそう説明した。

…ずばりその通り。