車に揺られて約二時間。
俺達は、アシミムの屋敷…改め。
アシミムの王宮に辿り着いた。
何の前触れもなく前王が暗殺されて、国王が替わったばかりだというのに。
車窓から見るシェルドニア王国の民衆の暮らしは、平和そのものだった。
政変なんて、まるでなかったも同然。
これも全て、忌まわしい『白亜の塔』の恩恵という訳だ。
平和で結構なことだな。
今ルティス帝国で起きている社会現象は、シェルドニア王国では有り得ないことだろうな。
新興宗教が台頭して、王政を脅かすなど。
シェルドニアの洗脳政治も、あながち間違いではないってか?
「…あー…。何もかも白くて気分悪い…。墨汁持ってくれば良かった…」
「全くだ。目に悪いことこの上ない」
俺がもし今墨汁を持っていたら。
辺り一面に撒き散らして、真っ黒に染め上げたのに。
そして、更に気分が悪いのは。
「お久し振りですわね…。『青薔薇連合会』の皆様」
縦ロールを卒業し、ちょっと一端の女王様になったつもりの、元なんちゃってゆるふわお嬢様(仮)。
アシミム・ヘールシュミットである。
「久し振りですね、アシミム女王陛下…。頭の中まで縦ロールが詰まってて、縦ロールを切り落としたら頭スッカスカで、政治なんて出来ないと思ってましたが…。意外に安泰なようで、何よりです」
まぁ、全ては『白亜の塔』あってのお陰だろうがな。
洗脳システムがなければ、この国は何の脅威にもならない。
アシミムは俺の皮肉に負けじと、白々しく話を続けた。
「わたくしとラトヴィを救ってくれたあなた方です。積もる話もありますし、是非ゆっくりとくつろいで頂きたいところですが…」
「生憎と、こちらはそんな暇はないんでね。早速本題に入らせてもらいますよ」
「…そう言うと思いましたわ」
そちらの都合など、知ったことか。
この国の洗脳システムを知る俺達が、どうして一秒でも長く、この国に滞在したいだろうか。
話を済ませて、とっとと帰りたいに決まってる。
シェルドニアに長居なんて、冗談じゃない。
何がくつろいで頂きたい、だ。
洗脳させて頂きたい、の間違いだろうが。
すると。
「…ルレイア卿」
「何です」
「華弦は…元気にしているかしら」
…へぇ。
自分を裏切って国を出ていった部下のことを、未だに覚えていたのか。
「そりゃあもう。あなたのところにいた頃より、ずっと生き生きしてますよ」
皮肉たっぷりに、そう答えてやった。
事実、華弦はルティス帝国に来てから、毎日充実した暮らしを送っているように見える。
仕事ぶりは優秀だしな。
妹との仲も良好。
良好過ぎて、ルヴィアさんが捨てられかけている始末だ。
「そう…。それなら、良かったですわ」
「…」
…少なからず、華弦のことを気にしていたのか。
アシミムは、心から安心したようだった。
…あぁそうですかい。そりゃ良かったね。
華弦の方は、あんたのことなんて、どうとも思っちゃいないだろうけどね。
あんたが満足なら、それで良いんじゃないの。
俺達は、アシミムの屋敷…改め。
アシミムの王宮に辿り着いた。
何の前触れもなく前王が暗殺されて、国王が替わったばかりだというのに。
車窓から見るシェルドニア王国の民衆の暮らしは、平和そのものだった。
政変なんて、まるでなかったも同然。
これも全て、忌まわしい『白亜の塔』の恩恵という訳だ。
平和で結構なことだな。
今ルティス帝国で起きている社会現象は、シェルドニア王国では有り得ないことだろうな。
新興宗教が台頭して、王政を脅かすなど。
シェルドニアの洗脳政治も、あながち間違いではないってか?
「…あー…。何もかも白くて気分悪い…。墨汁持ってくれば良かった…」
「全くだ。目に悪いことこの上ない」
俺がもし今墨汁を持っていたら。
辺り一面に撒き散らして、真っ黒に染め上げたのに。
そして、更に気分が悪いのは。
「お久し振りですわね…。『青薔薇連合会』の皆様」
縦ロールを卒業し、ちょっと一端の女王様になったつもりの、元なんちゃってゆるふわお嬢様(仮)。
アシミム・ヘールシュミットである。
「久し振りですね、アシミム女王陛下…。頭の中まで縦ロールが詰まってて、縦ロールを切り落としたら頭スッカスカで、政治なんて出来ないと思ってましたが…。意外に安泰なようで、何よりです」
まぁ、全ては『白亜の塔』あってのお陰だろうがな。
洗脳システムがなければ、この国は何の脅威にもならない。
アシミムは俺の皮肉に負けじと、白々しく話を続けた。
「わたくしとラトヴィを救ってくれたあなた方です。積もる話もありますし、是非ゆっくりとくつろいで頂きたいところですが…」
「生憎と、こちらはそんな暇はないんでね。早速本題に入らせてもらいますよ」
「…そう言うと思いましたわ」
そちらの都合など、知ったことか。
この国の洗脳システムを知る俺達が、どうして一秒でも長く、この国に滞在したいだろうか。
話を済ませて、とっとと帰りたいに決まってる。
シェルドニアに長居なんて、冗談じゃない。
何がくつろいで頂きたい、だ。
洗脳させて頂きたい、の間違いだろうが。
すると。
「…ルレイア卿」
「何です」
「華弦は…元気にしているかしら」
…へぇ。
自分を裏切って国を出ていった部下のことを、未だに覚えていたのか。
「そりゃあもう。あなたのところにいた頃より、ずっと生き生きしてますよ」
皮肉たっぷりに、そう答えてやった。
事実、華弦はルティス帝国に来てから、毎日充実した暮らしを送っているように見える。
仕事ぶりは優秀だしな。
妹との仲も良好。
良好過ぎて、ルヴィアさんが捨てられかけている始末だ。
「そう…。それなら、良かったですわ」
「…」
…少なからず、華弦のことを気にしていたのか。
アシミムは、心から安心したようだった。
…あぁそうですかい。そりゃ良かったね。
華弦の方は、あんたのことなんて、どうとも思っちゃいないだろうけどね。
あんたが満足なら、それで良いんじゃないの。


